[コメント] 魔の家(1932/米)
これは実に見応えのある恐怖映画。同監督の『フランケンシュタイン』の比ではない。冒頭、豪雨の中を走る車の表現も見事だし、「家」に着いてからのドア、窓、鏡、或いは階段の使い方も素晴らしい。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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メルビン・ダグラスがいかにもスターらしい登場のしかたをするのも格好いいし、レイモンド・マッセイやチャールズ・ロートンの脇役陣にもそれぞれ適度な見せ場があって飽きさせないが、『タイタニック』(1997)のお婆さん、グロリア・スチュアートがとても気品のある美しさで映画を背負って立つヒロインになっている。
また、ホークス『暗黒街の顔役』(1932)やフォード『肉弾鬼中隊』(1934)では、フランケンシュタインの怪物にしか見えない顔立ちで現れるボリス・カーロフが、この映画では特殊メイクによってカーロフとは思えない(フランケンシュタインの怪物とは思えない)キャラクターで登場する。ある意味、カーロフが主役の映画だが、ラストで幽閉されていた新たなモンスター「サウル」が出現するに至ってカーロフの印象が消し去られてしまう。このサウルという男の狡猾な暴力性は、ジェームズ・ホエールの屈折した精神を表出したものだ、という穿った見方もできるが、単純に「映画の悪役」としての造型が素晴らしい。
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