[コメント] イチかバチか(1963/日)
広げた大風呂敷は畳まれたか?
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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川島雄三作品鑑賞キャリアは非常に浅いのだが、画面が大変魅力的だといつも思う。 なにせ、当たり前のことを当たり前に描写しない。
盗み聞きするなら隣の部屋で用は足りる。それを離れの風呂場からという設定にする。桶を積み上げた上に乗って盗み聞きする姿が画(え)的に面白いからだ。 驚きの事実を盗み聞いてしまう。ハッとする表情や「アッ!」を声を上げさせたりすれば用は足りる。川島雄三はそんな凡庸な演出はしない。桶を踏み抜くことで描写する。 少なくとも城山三郎の原作には無いと思うんだよね。ぬるいお茶とかスッポンのくだりとか。
しかし、菊島脚本のせいなのか、広げた大風呂敷が上手く畳めているとは思えない。強引な寄せ玉なんかなかなか可笑しいのだが、せっかくのサイドストーリーがどこかに行っちゃった感じがするんだよなあ。やはり巨匠の遺作に名作無しなのか?え?そもそも巨匠じゃないって?
工事計画と退職届というプラスとマイナスのイメージが共存するワンカットこそ、1960年代当時、日本の今後を占う本当の「イチかバチか」なのだろう。
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