[コメント] じゃりン子チエ(1981/日)
全然古さを感じさせない。よく考えられている。例えば、テツが、縁日でチエとヨシ江が歩いているのを目撃した後、すねて、お好み焼き屋の2階に閉じこもるが、迎えに来たチエとのシーンでの、仰角俯瞰構図での切り返しのカッティング。
上に書いたカッティングが顕著だが、普通の会話シーンでも、ちょっとしたカメラアングルというか、構図の視線の高さは、よく計算されているように思う。アントニオの息子(ジュニア)が登場し、初めて小鉄と対峙するホルモン屋の場面で、唐突に天井からの視点、真俯瞰に転換する繋ぎなんかもある。あるいは、走る南海電車の正面からのカットが、かなりの斜め構図になっている等。
アントニオと小鉄で云うと、最初の対決シーンが、障子を閉められた向こうの奥座敷で行われ、完全に隠す演出がとられていたのに対し、終盤の墓場でのジュニアとの決闘では、存分と闘いが見せられる、というような部分も考えられたものだろう。墓の前の土を掘ると、弁当箱のようなものに、金玉が一つ入っている、というのは原作通りなのかも知れないが、愉快な見せ方だ。
チエとヨシ江が二人だけで会う天王寺公園、河底池のシーンは風景をよく再現している。南海電車に乗り、3人で行く遊園地は劇中では「ニコニコ遊園地」という名になっているが、立地上、みさき公園だと分かる。こちらは、名前を出していないことからして遊具等は創作なのだろう。観覧車から見た海はホンモノに近いのかも知れない。欲を云うと、テツとヨシ江に、ちょっとした波乱ぐらいあれば、映画的には面白くなっただろう。
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