[コメント] 千と千尋の神隠し(2001/日)
期待した一本であり。観たあとガッカリした一本。そういう意味で2001年度思い出深い映画となった。
ベタ誉めするほどの映画かな……?緞帳がおりたあとの素直な感想。勝手に期待して観にいった、こちらが悪いのだが。正直がっかりした。この手の世界観のうま味はルイス・キャロルが19世紀に出し切っていると思うんだけど。でがらしの世界を21世紀へ引っぱり出したこの映画、どう感銘しろというのだろうか?どこが斬新なのだろうか?
作品の内容も粗さが目立ち感心できなかった。世界観については説明はいらないが、キャラの感情や心情の変化の流れは丁寧に作るべきだったと思う。強引なストーリーに振り回され都合良く成長してく千尋に正直ついていけなかった。いつもの監督の丁寧さが見えてこなかった。「やっつけ仕事か?」とさえ勘ぐってしまう仕上がりだった。
あちこちに思わせぶりな伏線を施した形跡があった。後半はそれらの爆破を楽しみにしていた…だが、軽く流す程度か、ひどいものは全く手をつけず終始していたように思う。 これを手抜きと言わずしてなんというのだろうか。映像で誤魔化して、なかったことにしてるとしか思えなかった。
同伴した友達が、あれはこう、これはこう、とテーマや不明な点を説明をしてくれた。だが結局それは推測の域を出ず、また理解できなかった。どこをどう見たらそんな解釈ができるの?と、首を傾げるテーマと小道具の解釈だった。
予定調和で全てが終わった……千尋と一緒になってハラハラしたかったが、たいくつでしかたなかった。後半は完全に段取り芝居になっていて先が読めすぎる。 あれでハラハラできた人、おめでとう。
新人の無名な監督が作っていれば間違いなくこき下ろされる箇所が、有名な監督が作れば長所となるあたりが、この映画の本質だろう。「裸の王様」。正直に批評すれば石でも飛んできそうなこの空気には、まいった。「だって、みんながいいっていってるんだもん」「子供の心を持つ純粋な人にしかわからない」等、まるで○○の宣伝句を思わせる声も聞こえてきて、思わず「おいおい」とつっこみたくなる。
子供の心を持つ純粋な大人ってなんだろう?今の日本はそういう大人が多いらしい。そういう人達にしかわからない映画って、まるで……まあ、これ以上はやめておこう。純粋だと思いこんでる方々に失礼だし、こちらも、そういう高貴な人達と関わりを持ちたくないので。
つまらない、とは言わない。普通だった。これがベタ誉めするほどの作品だろうか?しかも本家本元には遠く及ばないと思う。
それでも傑作と言われる、まか不思議なこの映画。 有名税か?それとも、こちらの感性の不足か? どちらにしても、期待はずれの一本であることは間違いなかった。
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