[コメント] 千と千尋の神隠し(2001/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
2001年に見た最高の映画で。否。今までの映画で最も感動した映画だ。
「感動」という表現では御幣がるかもしれない。この映画を見終わった後、何も感じなかったからだ。そして、それが本当に「感じる」ということなのかもしれないと思った。「無」の境地。それは何もないということではなく、体中が満たされている状態なのだと実感した。
確かにこの映画には今までの宮崎駿の要素が多々見られるが、その一つ一つにわざとらしさを全く感じなかった。この作品は、ナウシカに始まり(未来少年コナンもあるが)アニメ映画を通して大切だと思うものを伝え続けた男が辿り着いた境地だと思う。それは、無意識だったのではないだろうか?走り続けた男が突き抜けた境地。そこに圧倒された。
そして、映画を細分化して批評することがいかに何も生み出していないかを痛感した(批評が悪いという意味ではない)。これは言葉で語れるものではないし、カオナシ一つをとっても「意味」を持たせる必要などこにもない。作者は決して意図的ではなく、「出てきちゃった」のだから。
圧倒された私は再び映画館に足を運んだ。そして、なぜか泣いてしまったのだ。初回は涙を流すような感動はなかった。ただただ圧倒されただけだったが、千尋がハクの「名」を思い出して二人で空から舞い降りるシーンでなぜかとめどなく涙が溢れ出してきた。
これは映画に「見せつけられた」のではなく、きっと私の中に、ずっとずっと深くに生まれるその前から「あった」ものだからではないだろうか
先日、宮崎駿は記者会見でこう言った
「次の作品を作りたくなった。次はもっとシンプルで、もっと根源的なものを描く」と
彼が宣言したのは初めてではないだろうか?「出てきちゃった」という私の感想からは矛盾するが、突き抜けた境地にいる宮崎駿を私は見たい。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (2 人) | [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。