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[コメント] シャイニング(1997/米)

「男」として生きることの残酷さ。ワシ的にはキューブリック版より、断然コチラが怖くてなおかつ、哀しい。原作のテイストの忠実なる再現に敬意を表す。
ボイス母

自分の過去の傷(多分父親に虐待を受けた)を匂わせながら、なんとか「父親」として「男」として「夫」として、ちゃんとやっていきたいのに、心の弱さからその心の隙間に幽霊達を招き入れてしまう主人公ジャック。

経済的に家族を満足させられなくなるということが、即、離婚に繋がるというお国柄もあるのかも知れないが。 アメリカという国が持つ、マッチョな価値観(男らしい男・父親らしい父親・義務を果たす夫=理想のアメリカ国民というイメージ)の産んだ悲劇としても読みとれる物語が大変に興味深い。

キューブリック版の『シャイニング』は脳内の怖いツボをグイグイ押されるカンジだったが、コチラの『シャイニング』は主人公ジャックの心の動き、内面の葛藤が心底オソロシイ。

家族を愛しながらも「おしおき」をせねばならない。子供を傷つけたくないのに傷つける立場に追い込まれる。 家族の仲で自分が疎外される孤独。子供時代に受けた傷口が再び口を開く。

この心理的な「大嵐」を丹念に緻密に描いている点にとても感動した。

ラストは原作の小説ともキューブリック版とも違う。 心洗われる、美しいラストである。 全てを許し、全てを堪え忍び、その果てにある輝かしい日々。

思わず親子で感動の涙に泣き濡れた。『シャイニング』で感動して泣くとは予想もしていなかったので、自分でもビックリした。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (5 人)ロープブレーク[*] TOMIMORI[*] 甘崎庵[*] ゆーこ and One thing torinoshield[*]

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