[コメント] 怪物の花嫁(1955/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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レンタル店に「エド・ウッドコレクション」の3作が置いてあり、これまで『プラン9・フロム・アウタースペース』(1959)および『グレンとグレンダ』(1953)を観てきた(後これはコレクションとは違うけど『死霊の盆踊り』(1965)も)。それで前の2作を観ていて、決してこれを最低!と言えない自分の事を少々真剣に考えてしまったのだが、本作を観てほっとした。
キャラは台詞棒読みは当然で大袈裟な身振りは動きが固くて失笑もの、設定は無茶苦茶、カメラ・ワークのひどさ、動かないぬいぐるみを相手に格闘する。タコやワニと言った他の映画のバンクフィルムを徹底的に使い回し…完璧な最低作品だ。その最低ぶりに大いに笑わせてもらった。
主演の素でマッドが入ってるようなルゴシの演技がとても小気味よい。『エド・ウッド』(1994)でマーティン=ランドーがやっていたあの怪しげな手の動きが見られただけでも大満足。更に老体に鞭打ち、水の中で動かないタコのぬいぐるみ(これも『エド・ウッド』でやっていたけど、他の映画のものを盗んできたもの。元々ギミックは組み込んであったらしいが、映画本編では不稼働。襲われる人間がタコの脚を持ち上げていかにも動いているように見せていた)。博士の助手のロボ(引退したプロレスラー)はジャネットのかぶっていたアンゴラを愛おしそうになで回しているフェティぶり。ジャネットは資料室で新聞記事を漁り、そこに事務員がいるというのに翌日になってもそのまま放っておかれるとかの稚拙な演出もあり。
後凄いのはカメラ・ワーク。画面中央に余計なものを置いたり、森のシーンでは人の顔に枝がかかっていても平気で撮っていると言うのが凄い。
更に唐突な落雷によって全てがお終い(キノコ雲が上がる程の巨大爆発だが、そこに居合わせた人間は全員無事)。
なんでも本作は製作資金を3日で使い果たしてしまい、完成に至るまで一年かけたそうだけど、それでこの出来。もう素晴らしすぎる。日本では『ブルー・クリスマス』(1978)が「特撮を使わないSF」で有名だけど、本作は「特撮を使わない特撮作品」という特異なジャンルにはいるだろう。
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