[コメント] 死の接吻(1947/米)
ヘンリー・ハサウェイの最高作か。トミー・ユードーという映画史上最も強烈な悪役を生んだ、即ちリチャード・ウィドマークという稀代の名優を生んだ映画としてだけではなく、ヴィクター・マチュアにまつわる部分でも目を瞠る力強い画面が随所にある。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ウィドマークが笑いながら車椅子の老婆(ミルドレッド・ダンノック)を階段から突き落とすシーンが喧伝されているが、冒頭の高層ビル内の宝石店襲撃と逃 走シーンのエレベータを使った緊迫感も良いし、ヴィクター・マチュアが仮出所した後、コリーン・グレイの部屋を訪ねるシーンでの階段や窓の使い方も巧い。このシーンの仰角カットで天井が映り込んでいるのには吃驚した。ブライアン・ドンレヴィ扮する刑事役の存在もいい。また、ラストシークェンスのマチュアとウィドマークの再会の演出でカーテンを使った画面設計も度肝を抜かれる。ここから続く二人のやり取りの緊張感も素晴らしい。
コリーン・グレイに絡む説明不足、例えばヴィクター・マチュアとコリーン・グレイの恋愛について唖然とするくらい描かれない部分等が難点で、こういうご都合主義を映画としての魅力に転換できないところがハサウェイの弱さだと思うのだが、しかしそんな欠点が帳消しになるくらいこの映画は面白い。
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