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[コメント] 機械じかけのピアノのための未完成の戯曲(1977/露)

採光窓付舞台劇。
埴猪口

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







限られた空間が舞台だが、奥行と高低を意識した撮影、時折見られる映画的表現がアクセントとなり印象に残る。光と闇、うららかな夏の午後、光に包まれていた笑顔や笑い声が、夜になってその心の闇を現わし始める。こういった象徴的な対比表現も徹底していて凄い。キャストの多くが演劇界の名優というのもチェーホフ世界の表現に説得力を与えている。

貴族に限らず、普遍的に人間のこっけいさを描いている所が秀逸。舞台となっている時代や、作品の古さも感じない。

ただ一つ気になったのは、「愛してる」という台詞がやたらと出てくる事。あまり愛してるを連発するとありふれたポップソングの様に陳腐に聞こえる…。というか今やポップ界でもその言葉は一種のタブーだと思うが…。この時代にはまだ使い古されていなかったという事なのかな?

出番は少ないし台詞もないが、あの美少年の存在感が凄かった。雨の中にたたずむあの顔…、そしてあの背中…。何なんでしょあの妙な色気は・・・

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)くたー[*] ルッコラ

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