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[コメント] ゴーストワールド(2000/米)

不恰好なぜい肉をもてあました仏頂面に、「ああ、そうなんだよね〜」と10代後半の自分を思い出す。
tamic

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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不恰好なぜい肉をもてあました仏頂面に、「ああ、そうなんだよね〜」と10代後半の自分を思い出す。激しく同意するわけじゃなくて、見ているうちにふわりと匂ってくるような。自分の中に蓄積された時間の引き出しから、「ああ、あったわ、そういうの」と体で感じるような。そういう映画ならではの微妙な一瞬を体感するとき、映画がやっぱり好きだと思う。

だから、この映画は良いと思う。同じ不思議ちゃんを描いた『アメリ』よりずっと好きだ。同じ匂いのする異性と出会い、恋心を抱くところも似てるけど、イーニドとシーモアは断然リアルでいい。関係を持ってから、シーモアがフライングするのも、高校出たてのイーニドがひくのもすごくよくわかる。

とても好感を持って観ていたのに、最後のバスがちょっとなぁ…と、大人になった私は思う。「私ってイーニド」と思う少年少女は、来るはずのないバスに乗り、旅立つイーニドに何を感じるのだろう?忌々しい世界から逃避できる喜びなのか、それとも着地点を得ることのできない絶望なのか。

ダサ映画になってもいいから、イーニドに着地点を居場所を提示してほしかった、と大人になった私は思う。生きるというのは格好悪いけど、つまらないことじゃないよというメッセージをしのばせておいて欲しかった。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)狸の尻尾[*]

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