[コメント] ファイナルファンタジー(2001/日=米)
この映画、CGは「リアル」なんだけど「リアリティ」がありません。
登場するキャラクターは「リアル」だけど「命」がまるで吹き込まれていません。この作品のレビューでしばしば言われる「人形」というやつです。途中で感動的に見せたキスシーンがあったのですが、生気を吸い取ってるように見えて妙に不気味でした。
『ファインディング・ニモ』のDVDに収録のメイキング映像で見た制作風景を思い出しました。各登場キャラクターにひとり割り当てられた「表情付け」の担当アニメータが何日も個室にこもり、自分が鏡に向かって演じた表情をCGモデルのモーションにひたすら落とし込んでいってるんです。
ひとつの映像作品としてCGに「動き」だけでなく「命」まで吹き込むには、クリエイターがそこまでして「命」をかける必要があるんだと思います。しかし、キャラクターに「顔の表情」をつけることはゲームを面白くし(作品としての価値を高め)たり、ゲーム的にキャラクターに命を吹き込む手段ではないし、そもそも最近まではハードの性能的に困難なことでした。そのためあいにく、ゲーム業界にはここにこだわる文化がありません。この作品のスタッフもそこまでやってないだろうし、坂口さんも気にかけていなかったことでしょう。
しかも、脚本にはフルCGじゃないとできないシーンなんてほとんどありません。ゲームはリアルタイムで動かす必要があるし、下手に実写を使うと失敗するジンクスがあるのであらゆる場所にCGが使われます。しかし映画に「実写でまかなえるCG」なんていらないんです。この作品にはその「いらないもの」が満載です。
ここまでで、ああ、もしこれがゲームのムービーシーンなら「うわぁすごいね!!」って言われる、けど…。ってものを作っちゃったんだろうなぁ…という感がします。
ただでさえCGの部分からいろいろボロが出てるのに、脚本は山場のない平坦な展開でさらにボロボロです。この脚本はゲームの添え物である「RPGのストーリー」として見ても全然面白くなさそうです。「餅は餅屋」以前の問題で単純にダメなだけだと思います。
そんな手強いボスたちで構成されたこの「睡魔と戦うRPG」は難易度最高潮。あくびをしないで最後まで観続けるのは原作のラスボス撃破より難しいかもしれません。
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