[コメント] メメント(2000/米)
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とてもユニークな映画でした。
直近の記憶をどんどん忘れてゆく心理って、実は誰もが持っているものだと思うんですよね。
私だった良く、あれもこれも失くします。
やれノート、ペン、書類・・・
書類の保管場所なんか次々に忘れてしまって、会社で浪費する時間の大半が処理探しだったりするわけです。
でもって忘れないようにするために、いろいろな動機付けをするわけですが、この映画の主人公は体中に入れ墨をしたり、ポラロイドにメモをしたりして、この動機付けの記憶を持ち歩いて自らの目的を遂行しようとする物語なんですね。
実にユニーク。
映画だってそうですね。
本当に記憶に残っている映画なんて、そんなに沢山あるわけではありません。
一度見て、ずっと忘れていたけど、たまたま見た映画のワンシーンで記憶が蘇る、なんてことはしょっちゅうある話。
この主人公は妻を殺した犯人をつきとめるべく、自らの記憶をいろいろな形で残しているところが面白いですね。
きっとこの主人公は妻を失ったショックから、このような病状に陥ってしまったんでしょう。
人といものは、自らに都合のよいように記憶を作り上げるという能力をもっています。
そして忘却こそが記憶をとどめる手段でもあるわけで、ここに出てくる主人公を自らにあてはめることは、謙虚に生きてゆくために必要なことなのではないかと思いたくなります。
『明日の記憶』という作品もありましたが、記憶とは時間ですね。時間とともに残る記憶と残らない記憶が峻別されてゆきます。
そういう時間軸をどんどんさかのぼる方法で映画が進んでゆくというのは、とても新しい手法だったと思います。
2010/07/09 自宅
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