[コメント] 探偵物語(1983/日)
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収束の一瞬のロマンス、優作にしたらこんな小娘、どうでもいいんだろうなあというニュアンスがある。例の長いキスする直前の申し訳なさそうな顔が極く印象的。本作、薬師丸は醜女役なのだろう。優作に振り向いて貰えず、ただキスだけして貰ったブルジョアのお嬢さんを憐れむ映画。そう考えるとやっと得心がいく。原作未読でいい加減な感想だが、少なくとも赤川次郎はその設定なのではないか。
いいシークエンスが幾つもある。逢引きのホテルに叔父だと偽って侵入していきなり薬師丸の頬叩く優作。ガラス屋のトラックが再登場する長回し(ガラスの反射で財津は薬師丸らの探偵を知り、追いかけて発砲して再度通りかかったガラスが割れる)。ベストショットは優作を逆に探偵してバーに先回りした薬師丸が「よお」とばかりに優作に片手を上げるショットで、ほとんど加東大介。
舞台は田園調布、ハイソなお嬢様もの(庶民的な立教大学はやや外しているだろう)。そのようなフランス映画っぽいアーバンなギャング映画なのに、後半は油臭いヤクザ映画になるのは痛恨。本邦のリアルだから仕方ないのか。財津一郎の指詰めはいかにもやり過ぎ。藤田進のヤーサンは珍しい。
渦中で秋山リサとも夫婦生活を取り戻す優作は異常だが、興奮状態だったのかも知れない。やけになった薬師丸がラブホに入る相手はイッセー尾方に似ている。推理劇としては、犯人は薬師丸の憧れの先輩の彼女だったというのは、唐突かつ主人公の願望充足でバカバカしい。真犯人は岸田今日子であるべきだった。それならインパクトがあっただろうに。彼女のお手伝い役は上手いものだったが、薬師丸の父との結婚とかいう話はどうでも良かった気がする。特別出演でカップ麺喰って財津一郎に殴られる荒井忠が印象的な端役。再見。
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