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[コメント] 女教師(1977/日)

学園の隠蔽体質が暴かれる、カッパノベルズ仕様のトンデモ映画だ。ヘドロの沼に咲く蓮の花永島暎子はピアノの練習に音楽室に居残って強姦されてしまうのだが、これが授業用とはとても思われないバカテク演奏で、冒頭からトンデモ映画と宣誓されているのだ。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







題字と色調整の効いた撮影がいい。日活はOPで青をしばしば強調する(『赤い教室』とか)。あれは血なまぐさい描写との対照として効果的だった。

リベート教師砂塚英夫の「処女じゃないなら強姦もみ消す」論、強姦魔古尾谷康雅の母絵沢萌子は砂塚に「今日はすす払いしたいのよ」と迫る。永島に縋りつかれて恋人の鶴岡修はさも不潔そうに「寄るな」。校内に流布する永島誘惑説を本人に滔々と説明する労組の樹木希林蟹江敬三。受けて永島「あなた方は何か恐ろしい誤解をしてらっしゃるわ」。以下もヘドロの沼は瘴気を上げ続ける。清水一行原作なのだからこの事件もモデルがあるのだろうか。それとも適当なのだろうか。

終盤に永島の弟福田勝洋と古尾谷が喧嘩始めると「春夏秋冬」が爽やかに流れてモードがかわる。しかしこれ、調子が狂うとも云うだろう。古尾谷の改悛と『丑三つの村』の練習で纏めるのは悪くないんだけどいかにも唐突。それならそれなりに、彼の人となりを前半で深堀りしておくものだろう。尺は1時間半あるんだし。

終盤の乱闘場所は東松山市の吉見百穴という古墳時代の横穴墓群で、本当はカーチェイスなどしてはいけないんだろうが、看板がやたらと映される処を見ると地元商工会とのタイアップなんだろう。

私的ベストショットは永島私刑の授業で、ここは演出が冴えまくる。生徒たちが(答案用紙なのか)一斉に紙を振りまくり、続いて一斉に靴を振り上げる教室の混乱。廊下に倒れる永島への接写に至るまで物凄い。

(評価:★3)

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