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[コメント] オー・ブラザー!(2000/米)

「セピア色の原風景の美しさ」などという批評には与しない。オデッセイアを原作としているらしいが、それには関係なく本作はアメリカ文学の伝統モティーフ「日常から逃走する少年」を視覚的に追体験させてみただけの刺激を欠いた反動的作品でしかない。
ジェリー

自己戯画化があまりに額縁に収まりすぎるジョージ・クルーニーが実に痛々しい。しかしひとつだけほめておきたいことがある。ジョン・タトゥーロのまなざしに戦慄を覚えた。彼の目は、徹底した受動者であるという自己認識に達していない人間の、そうした人間なりの狂的な自己主張を表現してすばらしい。(主体性のない人間の自己主張はおおむね醜いという命題を共有できる方には理解いただけると思う)この点においてのみ演技が監督の意図というか本作品の反動性をはるかに超えている。

(評価:★2)

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