[コメント] 天空の城ラピュタ(1986/日)
「落下」の映画であり「重力」の映画。
冒頭、空から降ってくるシータをパズーが受け止める(これは本当に素晴らしいシーン)。飛行石の光が消えるや否や、重力がパズーの腕にのしかかる。それ以外にも、全編に亘り「落ちる」或いは「落ちそうになる」場面が数限りなく繰り返される。そもそも「天空の城」がモチーフとなっていることを考えれば、このように「落下」「重力」にフィーチャーした表現が多用されることは全く不思議ではないのだが、こういった統一感で長編作品を仕上げてしまう宮崎の表現者としての能力にはやはり感服する。
一方で、この映画のアクションはちょっと物足りない。オープニングでの飛行船襲撃や、高架鉄道でのチェイスなど魅力的なシーンもあるのだが、肝心のラピュタでのアクション部分は折角の舞台装置を活かせていないように感じる。王族云々、呪文云々といった能書きにフィルムを費やし過ぎか。主人公ふたりも優等生過ぎて鼻白む。
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