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[コメント] ハリー・ポッターと賢者の石(2001/英=米)

配役や世界観の再現はほぼ完璧だが、内容自体は原作のイメージの補完的作品にしか成り得ておらず、映画単体ではとても「楽しめる」とは云い難い凡庸なる本作。改めて人気原作モノの映画化の難しさが伺える。
ヴォーヌ・ロマネ

ハリーポッターと賢者の石』の映画版は 映画単体の作品としては凡作といった印象です。

というのも、原作通りに映画を作ると4〜5時間を超える作品になってしまうので かなり端折られているのです。シーンの繋がりが唐突で時折不自然に感じる点は否めません。 とはいえ、時間の制約というのもあるのでその辺りは大目に見ることが出来るでしょう。

が、問題は再現している部分のカタルシスを感じさせるための仕込みが弱い事、つまり描き足りないことです。 原作からしてご都合主義的なところはあるものの、それをそう感じさせないような点も 映画では描ききれておらず、原作では主人公と供に喜べる部分も素直に喜べない所が多々あります。

また主人公のライバルのイジメっ子ぶりも中途半端でラストの展開は 逆に可哀想になります。原作では相当イヤなヤツなのでスカっとする場面なのですが、 ここも力不足。時間の制約上、再現するシーンを選ぶのは分かるとしても その再現したシーンがもう一つで、カタルシスをどの場面でもあまり感じさせてくれず ずっと、可もなく不可もなくといった物語が進むわけです。

しかしながら、世界観の再現、セットの細やかさ、また豪華さは 目を見張るものがあり、 キャストも絶妙です。ただ、子役の演技は あまり期待できません。 別に悪くは無いのですが、主人公のハリー役は 設定があるにせよ、 それでも表情が少々硬いのが気になりました。

つまり本作は、映画単体で楽しむというよりも 原作をみて、あのシーンはどう映像化されているのかを楽しむ、等など そういった寛大な気持ちで観ることが一番かと思われます。 実際、クィディッチと呼ばれる空中球技のシーンは本を読むより こちらの方が遥かに迫力のあるシーンが観られます。

(評価:★3)

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