[コメント] アトランティス/失われた帝国(2001/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
注:ふしぎの海のナディアファンなので、一応それなりに長いです。
ナディアと比べるのもなんだから、『白雪姫』と比べてみても、生誕100年にしてはスケールが小さく、ディズニー自体のクリエーターとしての素質が劇的に低下しているのは間違いない。金満体質による逆進化、金太りの官僚体質的になってしまった状態でオリジナリティを求める方が、酷といえば酷なんだなと思う。
この作品を雑音から切り離して考えるべきだとは思う。評価は絶対評価で有ることがたいせつだからだ。
だが、この作品自体、ほかの雑音を無視して評価を下すとしても、とてもじゃないけれど、喰えた品物ではない。どう転んでも、本来ならば素晴らしいスタッフがいるのだから、素晴らしい作品が出来そうなのにもかかわらず、どうしてスケールがせせこましい駄作が産まれるたのか?
その答えのヒントがDVDの特典にモリモリと埋もれていた。
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ディズニーの冠頼みの体質を備えた作り手の退化。
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DVDの特典のメイキングで監督、ゲイリー・トゥルースデイルとカーク・ワイズが以下のことを語っている。
「インターネットを活用したんだ。助けられたよ。特に構想の段階では、インターネットだけでも十分な情報が集まった。様々な説が展開されている科学的な者から、奇想天外な発想のものまで数知れないよ。いろんなイメージがひらめいたよ。」
アトランティスについて徹底的に調べたことを興奮気味に語っているのだが、上の文章を見て現代の辞書に本質を翻訳して貰うと以下の文章になると思われる。
「ファイル交換のフリーソフト、MXなどを活用したんだ。助けられたよ。『ふしぎの海のナディア』全話を手に入ったのは大きな成果だったよ。構想段階では、このようにインターネットだけでも十分元ネタが集まった。ディズニー映画の『アイアンジャイアント』や『もののけ姫』『ナウシカ』『ラピュタ』なんかもMXで落とすことに成功したんだ。…けれど、あとから知ったんだけどディズニーはジブリと手を組んでたんだからジブリ物は簡単に手に入ったんだよね。馬鹿だねー、俺ら。アイアンジャイアントまで落としてやんの。アハハハハハハ!ADSL1.5Mだから時間かかって作業進まなかったよ!げらげら」
徹底的に調べたはずなのに、インターネットで大量に情報を仕入れたはずなのに、アトランティス関係の書物や奇想天外な発想や科学的な説まで集めたのに、『ふしぎの海のナディア』を知らなかったというのは、奇跡としかいいようがない。
さらに、同じようにパクリ疑惑が特典から浮かび上がってきた。アート・ディレクターのデヴィッド・ゴーツは語っている。
「この映画は今までの作品とは少し違った。社内の人間だけにこだわらないで、外部からフリーランスのスタッフを雇ったんだ。いい刺激になるよ。今までのアニメーションにはなかった新しいセンスを彼等は吹き込んでくれる。」
と、このように語っている。こうして、パクリ疑惑は9696であったとしても、例え120%モロ盗用でも外部からのフリーランスのスタッフに罪が分散していく仕組みを作っていくのだった。ディズニーランドのアトラクションよろしく、しっかりと現場でも善人から見ればハラハラドキドキのアトラクションがうなり声をあげて動いていたことが想像される。しばし上部のメンテナンスという名の恫喝が入っていたのかも知れないと思うと、少し気の毒にさえ思えてくる。
そして「『不思議の海のナディア』なんて作品は聞いた事も無かった。」(by監督のカーク・ワイズ)が少し気の毒にさえ思えてもくる。本来ならナディアヲタを公の場で表明したいだろうと思われる。
なーんてね。ないない。
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そうそう、あと、同じように特典映像のメイキングを見ていると、プロダクション・デザイナーのマイクミニョトラー自身の作品を映画化した方がよかったのではとつい思ってしまう。内容は知らないけれど、彼の作品の登場人物を見る限りに於いては、オリジナリティと独自の画力と画風は人を惹きつける力が備わっていた。
コミック作家である彼の作品を手がけて、生誕100周年を祝っていた方が、いくぶんかは痛くならないで済んだのではないかと、結果論ではあるが、まともな金銭感覚とブランド戦略をお持ちの人間で有ればそう思うはずだ。
ディズニー法案によって保護されてぶくぶくに太ってきて、動脈硬化によって創造力低下。これから進むべき道は失われた帝国を実写化することなのだろう。
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で、ラストに締めで『ふしぎの海のナディア』の主題歌の替え歌を歌いたいと思う。
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『ブルーウォーター 』
歌/ミッキーマウス 作詞/ジャイアント白田 作曲/井上ヨシマサ 編曲/ジョー=リノイエ
お金は裏切らない
株価が下がる前に私
もっと稼ぎたい
財布のオルゴールが
開いてく入ってくる
少しずつのお金
罵声も金で蹴散らすの
今私の手にいっぱいの版権
罵声は尊敬のシグナル
DON’T FORGET TO TRY IN MONEY
富はworldよりすべてを巻き上げる
2003/5/17
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