[コメント] 息子の部屋(2001/仏=伊)
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息子を事故で亡くした家族が悲しみの底から少しずつ立ち直っていくまでの話。家族をテーマに扱った作品の中としてはこれほど信頼に結ばれた家族を描いている作品も珍しい。信頼に結ばれていた家族が息子の死によってお互いに後悔と悲しみに暮れながら離れ離れになってゆく過程を下手にドラマチックにせずに日常の出来事のように描いているところはどこかズシリと悲壮感を受ける。ラストは必ずしも立ち直るとは限らないがかすかな光の見える終わり方をしていて実に素晴らしく描けている。前半は信頼に結ばれた家族の日常を淡々と描いているため多少退屈するが息子が亡くなってから家族が離散していくまでの過程を描いた後半は実に作品にひきつけられる。しかしお互いに思いやれて信頼にしっかり結ばれた家族だからこそ家族の1人の存在が失われる重さがあるわけだがはたして今の日本でそんなにこの映画のような家族の信頼を保っている家族がどれほどいるのかというのを考えさせられる。評価が人によって違う物なのだがこの映画の家族は確かに素晴らしいがあまりに日本では現実感のなさそうな感じがしてなんか気になってしまう。役者はナンニ・モレッティ演じる父親の娘ジョバンニを演じたジャスミン・トリンカが息子を失った悲しみにくれながらも自分を気遣う両親への対応に悩む非情に複雑な心境を実に上手く演じている。息子のアンドレア役のジュゼッペ・サンフェリーツェも結構演技は上手かった。只タイトルが『息子の部屋』となっている割に映画ではその息子の部屋自体はかなりおなざりになっているので出来れば邦題ぐらいはもっと違ったタイトルにして欲しかった。ストーリー自体は良い出来だが非情に重いので見る人によっては眠気を誘ってしまう作品かもしれない。
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