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[コメント] 息子の部屋(2001/仏=伊)

「家族」と「死」と言うテーマを真摯な視点で捉えた秀作。幸福な家族に突然訪れる悲劇から再生への物語を絆を通し、無理なく自然に描く。イタリアの陽射しと美しいインテリアが作品の憂いのトーンとの絶妙なバランスを作る。
TOBBY

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作品のモチーフに「死」という物が絡むと否が応でもドラマチックになるので、それが裏目に出て陳腐な作品になっていたら嫌だなぁと思って観た。が、それは余計な心配だった。モレッティ監督はいつになく素直に、逃げることなく息子の死と向き合う家族という像に向き合い、正面から丁寧にテーマをもてあそぶこと無く撮りあげている。残された家族がそれぞれの立場で自分達を責め合い、後悔にくれ、嘆き、悲しみ、やがて自暴自棄に陥るのが、すべて予定調和なのだが、描かれるディティールや登場人物たちの感情の揺れにズレが無いため観ていて、観客は共に感情移入することが出来る。後半、息子が生前、好意を持っていた少女のドライで好印象に描かれない設定がリアルで面白い。嘆き、途方に暮れていた家族たちが、現実的で若い少女やボーイフレンドを通し、自分達も過去に区切りをつけ前向きに生きる決意を見せる暗示で終わるラストが清々しい。ビ−チや夜明けなどの感覚的な扱い方も好印象。主演も演じるモレッティが美しい妻役のラウラ・モランテの乳首をベッドで頬張るシーンが不必要で蛇足。

(評価:★4)

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