[コメント] カンダハール(2001/イラン=仏)
少々緊張して見たものの、いつものマフマルバフで少し安心。でも彼の映画には全然安心できない。
マフマルバフの映画には、いつもなんだか変な魅力がある。一見ドキュメンタリーを装いつつも、全体的に嘘っぽく、ちっとも信用できないような人間ばかりが登場する。見ていて非常に不安定な気分を強いられるが、それでいてひたすら美しく、気がつくとこの奇妙な世界に見事に取り込まれてしまう。
『カンダハール』もまたその変な魅力を持った映画だった。マフマルバフは、今誰もが興味を持たざるを得ないようなテーマをたまたま持ってしまったこの映画でも、ジャーナリストでも単なる正義漢でもなく、あくまでも映画監督であるという態度をまず示したのだ。それでもここにわかりやすい意思表示があるとしたら、それは例えば「目を向けよ」というようなものだったりするかも知れないが、それを映画として彼の独特の流儀でこういう風に撮り、見せてくれたというのは、彼の映画監督としての最大の誠意ではないかと思うし、そういう意味でもなかなか希有な作品であると思う。
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