[コメント] カンダハール(2001/イラン=仏)
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実話を元にした映画。 アフガニスタンからカナダに亡命した女、ナファスが主人公。 妹は地雷で片足を失い、自由に動けないのでアフガニスタンに残った。 その妹からカナダに手紙が送られてくる。 「日食の前に自殺します。」 日食まで3日しかない。 妹に自殺することを止めさせるため、生きる希望を取り戻してもらうために 危険を承知でイランからアフガニスタンの国境を渡る。 そこで知り合う様々な人たち。 診療所に訪れる、足のない人々。 義足をもらうために、「如何に自分がかわいそうで惨めであるか」を 競うようにして語る男達。もちろん嘘八百も交えて。 生きることが難しい環境では、偽善など存在しない。 騙し合い、どこまでも食い下がって金になるものはいただこうとする。 そのなかでも、ある少年は白骨死体から指輪を取り、 ナファスに「君の目の色と同じだから1ドルで売ってやる」 と、なかなか離れようとしない。 情報の少ない国の人たちの生き方とか価値観をリアルに観ることが出来て おもしろくもあったけど、 あまりにもえげつなくて見ていて具合悪くなった。
撮影は2000年。めちゃめちゃ危険な時に映画を作ったものだ。 でも、だからこそ関心が高まる。 現地の人はどうやって生きているのか、国境を越える難しさとはどんななのか、知りたくてこの映画を観た。 その期待を裏切らなかった。 人間はどこまでも生きようとする。こんな環境でも生きてゆける。 アメリカ出身の診療所の医者が 「人間が生きてゆくためには希望が必要だ。 ここでの希望は、空腹な時はパンを、乾いた時は水を求める。 そのために生きてゆけるのだ しかし、これでは(私は)不満だ」 といっていたのが印象だった。 そのアメリカ人は、かつてアメリカ兵としてここにやってきた。 国のために戦うことが「神の存在を知る術だと考えていた」から。 でも、戦場で「実は病んでいる人を救うことがその近道であると知った」 彼は、医師免許もないまま医者になり、人々を回復させていた。 現地の人たちの生理的欲求とは対照的に、 彼の欲求は崇高なものだった。 現地の人たちも、えげつない方法で人から物を騙し取っていたとしても 生きるために純粋に必死だ。 ナファスは彼らのもとを後にして再び妹の元へ。
それにしても、この映画を作った監督はすごい。 命張ってる映画を始めて見た気がする。
でも、できればそういう環境は撲滅されて欲しいものです、しみじみ。
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