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[コメント] フロム・ヘル(2001/米=チェコ)

この時代をとてもよく描かれていて、湿った路地や薄暗い安宿にたむろする娼婦たち、アヘンの煙などがにおってきそう。娼婦や街の人々同様に、姿のない犯罪者におびえた。ただ・・・
terracotta

 難を言えば最初のほうの犯人像と最後の犯人像が自分の中でカチッと結びつかなかったことくらい。

 作品として非常によくできていると思う。時代を描くということに関しては最上の部類に入っているだろう。背景だけでなくそこに登場する人物もすばらしかった。娼婦たちは生活をかけて街をさまよい、犯人の毒牙にかかっていく。犯人を追う警部たちの捜査方法もまた時代を感じさせ興味深い。惨殺死体も決して作り物に見えるという意味ではないが、よくあるホラー系の毒々しさではなく静かな姿で浮かび上がる。万事この調子で、見ているとこんなに残酷なお話しなのに不思議に満足が行く。

 イアン・ホルムもすばらしい。この映画では彼の役割が非常に大きいと思う。心境、状況によって変わる彼の「目」には心底恐怖を覚えた。

 さて、最後に・・・  ジョニー・デップの映画、これがはじめてだったんですが1作目でいかれてしまいました。8月は私的ジョニー・デップ月間になるでしょう。彼のすばらしさは、映画の中ではジョニー・デップに見えないこと。まだ見ていませんが、他の映画でもきっとそうなのではないかと思わせる。役者魂というか、別人を演じていたらその人自身になっていた、そして自然にその人物として呼吸している。これはまれに見ることではないでしょうか。

(評価:★4)

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