[コメント] アモーレス・ペロス(2000/メキシコ)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
「犬のような愛」ってどういうこと?
確かに映画は「愛」をひたすら描いていたが、犬のような・・とは?飼い主への愛?飼い主・・・?あれ?飼い主なんてあったのか?
この映画で描いていたのは「愛してはいけない愛」じゃないかな?兄貴の嫁さんへの愛、不倫しての愛、自ら関係を捨てた娘への愛・・・・。
そこに犬が絡んでいる。俺はどうしても題名の意味がわからない。
しかしそんなことおかまいなしに冒頭からテンションぶっ飛ばし。もう最高!
脚本もめちゃくちゃ上手い!これは本当に見終わって改めて脚本の見事さに感動した。
一瞬の出来事を冒頭に持ってきて、その「出来事(=事故)」の前後からのそれぞれの「愛」の模様。そしてあの闘犬の伏線・・・・。なんとも素晴らしい脚本じゃないか。見事な伏線というのであろうか。
こういう時間軸ずらしの映画だったら『パルプ・フィクション』があるが、俺は『アモーレス・ペロス』の方が『パルプ・フィクション』よりも凄い脚本だと思う。
それに映像も荒々しいのにワイルドでクール(?)。じいさんが射殺するシーンで実業家の血が鉄板の上で蒸発している映像で俺は興奮しまくり。
そして主人公の一人のあの青年の着ているシャツが『スクリーム』のシャツだったり、チンピラが無駄にマッチョだったりと最高!
さてさて・・・・
この映画の3つの愛。それぞれの年代に別れている。「青年」「中年」「老年」。そしてそれぞれの愛は全て叶わずはかなく終わる悲しい愛。観終わった後不思議な余韻に浸れた。
あの青年の愛は前半は結構ありがちな感じだったが、後半(事故のあと)になると完全に前半までのハイテンションから一気に落ちて悲しい結末へと進んでいく
そして中年の男。家族を捨て、そして不倫に走る男。そして別居してまで掴み取り、たった一つの事故で悲しい結末へと進んでいく。
してはいけない愛を選び、そして恋人が何もできなくなったら?絶望からストレスにかわり怒りが生まれ、そして悲しい結末。これは「愚かな愛」。愚か過ぎる。
そして老年の愛は家族への愛。ひっそりと愛していたのに、たった一つの事故から拾ってきた犬が自分の犬たちを食い殺した事から吹っ切れたように娘に最後の愛を与えさっていく老人・・・・。
この映画、一見何も関係ない三人だが、あの「衝突事故」一つで結ばれていて、この三人の愛も実は関係があった。
まず青年の愛は一応不倫。つまりこれは不倫に至るまでの経過。
そして中年は家族を捨ててまでした不倫から墜落へ・・・。最後に老年の男は家族を捨てたのに忘れられずに家族へと戻っていきたい男の愛・・・・。
実はこの3つの愛は微妙に似ている。というかつなげてみると結構秘一つになる。
脚本の見事さと、そして3つの愛が複雑に交錯して出来上がったこの作品。音楽センスも悪くないし、映像も荒々しいのが逆にいい。
しかし一つ。中盤に少しだれた。あの中年男の不倫物語の終わりあたりは大体先が読めるし、その後老年男になって、最初のあたりはどうもちょとだれる。
しかし中盤だれても後半一気に盛り返してきてくれたのが嬉しい。やはり面白いんだよな。この映画。
映像・・・5☆☆☆☆☆ 音楽・・・4☆☆☆☆ 脚本・・・最高!最高!最高!うっひょぉ〜♪
総合・・・5☆☆☆☆☆
――追加
まぁ犬のような愛というか、犬にしか愛情を注げないような人間ってのか、なんてーのか。
深いです。はい・・・。
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