[コメント] ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ(2001/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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びっくりした。カツラとメイクのブキミさに。美意識の違いで片付く問題でしょうか。舞台メークとはああいうものと言われればそれまでですが……。
と思って見てたけど、よくよく考えると、表情(メーク)でヘドウィグの内側の葛藤を見てとれるってことでもありますか……。米国人と出会ったときは幸せそうな表情が可愛らしかった(?)し、トミーと恋に落ちたときの表情はほんとに美しくて、画面食い入るように見つめちゃったし。
人間、恨みつらみを抱いているときの表情はロクなもんじゃないですからね。(自戒を込めて)
しかし、人ひとりで生きていくって、相当ツライいこと。 父や母の愛が少なすぎた分、愛に餓え、人一倍愛を求めていたヘドウィグ。
まず、彼の運命を180度変えた出会い。米国男である。簡単に釣られ、「怒りの1インチ」にされたあげく、いともあっさりと捨てられてしまう。これは怒りである。
しかし、次ぎのトミーとの出会いは、もっと辛く深い傷となった。お互いが少しずつ歩み寄るということは、それだけ情も深くなる。ヘドウィグが本気で愛していたた分、この別れは怒りを通り越して恨みとなる。
トミーを恨み追いかけ回し、身も心もボロボロのヘドウィグ。 1人スターダムを駆け上がり、大勢のファンに囲まれて輝くトミーが憎くてたまらない。
しかし、地位も名声を得たトミーもまた孤独だと知る。
ラスト、カツラを取って歌うヘドウィグは、ほんとうにカッチョヨカッタ! 人に求めているばかりでは、何も得られない。半人前だった彼の心が、やっと一人前となって産声を上げたのである。
全裸で歩く最後のシーンは、なぜか切なさを感じた。 人ひとりって、やっぱり不安定なものだなぁと思った。
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