[コメント] ブラックホーク・ダウン(2001/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
この映画にネタばれなんてあんの?とか見てて思う・・・。とかいいつつしっかりネタバレReview(笑)けどさぁ・・・
タイトル自体ネタバレつーか、劇中で「ブラックホーク・ダウン(ブラックホーク墜落)」って言ってるわけだし・・・・。それにストーリーもクソもないじゃん。いや、この映画を批判しているわけじゃないし、クソっていうのは悪く聞こえますね。けどストーリーなんてあんの?
だって上映時間の最初に少々事件までのことを説明されたら後は延々と戦闘シーン。ラストで誰が生き残るとか、誰が戦死するとか、そういうの問題じゃないじゃん。だってリドリー・スコットは問い掛けたかったんでしょ?だったら別に最初から誰が死ぬってわかっててもいいわけじゃん。
って言うよりも、死ぬ、死なないとかよりも、人物紹介がほとんどないので、別に感情移入もできないと思う・・。これがこの映画なのだから、仕方ないけど。
んでまぁ、しっかしさぁ役者の見分けがつかん!ほとんどわからん。誰が誰だか。んまぁジョシュ・ハートネットとかトム・サイズモアとかなら結構分かるけど、どうしてもユアン・マクレガーがわからなかった。まぁ役者の顔とかほとんど興味ない自分だからかもしれないけど・・、なんだかなぁ・・・。
見分けがつかない理由は唯一つ。「みんな髪型が同じ!」
見る前に「突撃(出撃)前の兵士の心境が描けてなかったらその地点でおしまいだな」って思ってたけど、結構イイ感じに描けててよろしかったです。
戦闘シーンも迫力あって、延々と続くだけなのに飽きるどころかスクリーンに入り込んでしまうほど。ただなぁ、なんかいまいちピンとこない・・。
この映画は点数つけるのが非情に難しい。「面白い」「面白くない」の映画ではないと思う。ただ戦闘シーンやら兵器を期待してみた人なら「面白い」って思ったりするかもしれないけど、これは監督曰く「問い掛ける映画」って言ってるから、自分的に『シン・レッド・ライン』と似た部類に入るのかな?って思ってます。
あの映画も同じように「面白い」とか「面白くない」の映画ではないと思ってます。
とまぁ、真面目な話で自分もちょっと堅苦しい気分になってくるので、ここで面白発見。
アメリカの陸軍部隊(デルタフォース)はこの任務にきて、ヘリが撃墜されたり、と色々あって大変。
この映画はその戦闘シーンを描いてたわけですが、見るなら見る前に『エネミー・ライン』を見てほしい。あの映画に主人公をストーカーのように、いやいやトミー・リー・ジョーンズのようにしつこく追いかけるスナイパーが居ます。彼の着ている服はなぜか二本線のジャージ!!これ注目。
民兵の中にもいます、二本線ジャージ!!これは注目ですよぉ〜♪
はてはて、映画の中でジャージ君やら、RPGが大活躍ですが、この映画って一応「史実に基づいている」わけですよね、けどこの戦闘の中、事実ですが、アメリカ兵士の死体を裸で町中ひきずりまわす映像がテレビで放送されたそうで・・・。
なんかこのシーンは最初から撮らないつもりみたいでしたが、自分的には本気で問い掛ける作品で、史実に基づくつもりだったのなら、本気で史実に基づいてほしかったものです。
ただそれに繋がりそうなシーンはありましたが・・。撃墜されたヘリのトコで応戦していて弾が切れて撃ち殺されて、民兵達が上半身裸の状態の死体を担ぎ上げているシーン。これから繋がりそうだなぁって感じで終わるのですが・・・。
史実にも基づいている・・・、かぁ・・・。はて?どうだろう?
まぁこういう映画だから本来のジマー節もそこまで前面にでてなくて、ちょいきたい外れだった。
ただなぁ、これだけやっておいて、終わってみれば何も残ってない気がするのは自分だけ?
けど飛び交う銃弾、砂埃、バラバラと落ちる空薬莢。この映画の感想で言うべきじゃないかもしれないけど、戦闘シーンは素晴らしい!芸術的つーか、臨場感あるつーか・・・。
腕がちぎれたり、足を撃たれたり。これが『プライベート・ライアン』だったら滅茶苦茶グロくて、「戦争ってグロくて、最悪」って思うかもしれないけど、この映画で同じような映像がでても、全然グロく感じないのはなぜ?
ちなみに顔の見分けがつかないからかわからないけど、今どこで誰が戦っているのか把握しにくかった。できるところの方が多いけど・・・。
映像・・・4☆☆☆☆ 音楽・・・3☆☆☆ 戦闘シーン・・・5☆☆☆☆☆
総合・・3☆☆☆
総合が3点なのは、この映画が悪いとか、良いとかそういう問題じゃなくて、自分の頭が悪すぎて何を問い掛けたかったのかよくわからなかったような気がするから・・・。
もしかして「戦争はよくないよ」って言いたかったの?どっちにしろ最初に「この映画は史実に基づいている」とか書いてあったから、兵士がひきずりまわされる映像も入れないと・・・・。やっぱプロデューサーがジェリー・ブラッカイマーだから?それともあまりに惨酷すぎるから?惨酷すぎるからってカットしたのだったら、つまりその映像は
アメリカ兵がひきずりまわされる映像ない=アメリカ寄り
ってことって考えていいのか?よくわからん。けどこの映画を見た限り、どう考えてもアメリカ兵は正義。民兵達は完全な悪役。そうにしか見えない。
今いきなり思ったんだけど、これって問い掛ける以前に答えだしてるじゃん
この映画はつまり「金持ち国が関係のない国の内戦に介入すると逆に痛い目に会う。」金持ちが金を大量につぎ込んで作った兵器だって、実戦経験のない訓練され尽くした兵士だって、結局は殺される。いや、死ぬ。金持ちは自分たちは「正義の名の元」といいながら戦争を引き起こし、結果的にアメリカ兵は19人(だっけ?)死んで嘆いているのに、ソマリア兵は民間人などあわせて1000人以上死亡と予想されている。結局アメリカ兵から見れば「正義の名のもとに彼らを救おうと思って1時間で帰る予定だったのに、ちょっとのミスで返り討ちにあって作戦も中途半端に終わり、そのうえ死傷者を出してしまった」わけなんだけど、向こうから見れば「うざったい金持ち国が他の国機嫌をとるためにPKOだかなんだかわからん組織の活動と称して戦争を楽しみつつ新兵器の実験場として我が国の土を汚しにきた上に、俺たちはこの映画では悪役。アメリカの若い兵の体験した悲惨な物語?だったら俺たちだってあるぞ、戦闘に巻き込まれた悲しい民間人。誤射とは言え自分の父親を射殺してしまった少年。これでも俺たちが悪役か?」とね。
結局この映画で真実を描こうと思っても不可能だし、アメリカが描けばアメリカの映画になり、向こうの国が描けば向こうの映画になる。
アメリカ寄りだとか、寄ってないとかそれ以前にこのPKO自体問題があったのではないのか?金持ち君が偉そうに介入するべき戦闘だったのか?
そして介入して救ったのならよしとしよう、しかし結果的には民間人やら兵士達を大量に殺しておいて、「僕らは今までの僕らに戻れない」だと?だったら失われた「僕ら」だって「今までの僕ら」に戻れないんだぞ!
あぁ、もうダメ。後からあとからこの映画って真実を描いてないって事ばっかり頭に出てくる。
だって「史実を描いた」なんぞ言った所でおかしいのだ。自分が思うに、ベトナム以来米軍が体験した激しい銃撃戦、極限状態の若い命。戦い抜く「俺たち」。
ここまではいいけど、これは事実の一つだけど、コレだけを描くときっとアメリカな映画になると思う。特に「戦い抜く「俺たち」」ってやつ。
んでこの映画はしっかり「戦い抜く「俺たち」」を描いたわけなんですが・・・。
話の展開、戦闘の進み方、兵士達の心境(自分的にあまり描けていたとは思わないのだが・・・)を描いている割にしつこいようだけど
裸にされてひきずりまわされる兵士の映像はなぜないの?確かにこっちの国への反感が生まれるかもしれないけど、これだって事実でしょ?アメリカにとっての事実を描いても向こうの国にとっての事実なんて描けてたのか?原作は両方の視点があるとのこと・・・。映画ではアメリカの視点・・・。
結局何?やっぱアメリカなの?アメリカがそんな偉いのか?んまぁこんな批判して俺がアメリカ嫌いに見えるかもしれないけど、ねこすけはアメリカって国好きだよ。頭の悪い俺には政治なんてあんま興味ないから好きになれるのかもしれない、けど馬鹿でもいえる
この映画は名作でも駄作でもない、真実を折り曲げた、アメリカのアメリカによるアメリカのための戦争映画
「映画を越えた映画」だとこら!調子にのるな!映画を越えた?んじゃこれは映画じゃないのか?じゃ、これは何なんだよ!えぇ?「リアルな戦場を味わえる映画」とでも言いたいのか?確かに戦場はリアルだし、兵士達の体験してきたものは地獄といえるものかもしれない、しかしその体験ばかり描いて、向こうの国には見向きもしないとは何事か!ちょっと前まで中学校で馬鹿笑いしていた俺でも、政治なんて興味ない俺でもこの映画には反発してやりたい。
まぁ史実に沿ってそれを脚色するのなら結構、だがそれも作品によるだろ?『タイタンズを忘れない』だって感動するように脚色しただろうし、『パールハーバー』だって『タイタニック』だって架空に近い人物を作り上げる。
しかしこの作品の場合の「史実にそった」は本当に史実にそってないといけないのでは?かなり細かいところは仕方なくても、いくらなんでも「兵士がひきずり・・・」のシーンはカットすべきでない。そう思う。
ってももしこの映画にそのシーンがあったら5点つけるか?って聞かれても俺は3点くらいが限度だと思う。向こうの国の視点が描かれていない限りは5点つけることはできないだろう・・・・。
んで結果的に総合点が1点になってしまいました・・・。
―――似たような別の視点―――
最近やたら戦争映画が多い『プライベート・ライアン』から『パール・ハーバー』『エネミー・ライン』と続々出ている。
しかしその中で真実を描いたというか、深い戦争映画があっただろうか?
『プライベート・ライアン』では友情と愛(親のとか、そういう)命の重さを描いていたわりにスピルバーグの手によって結局臭くなってしまった気もする、深いといえば深いかもしれないが、そこまで深かったのか?戦闘シーンのリアルさとかは申し分ないのだが・・、『プライベート・ライアン』のコメントにも書いているようにテーマがちゃちい
そして『スターリングラード』。こちらはスナイパー同士の激突と戦場のギリギリの愛。やっぱ戦争を娯楽の一部として描いていて、「面白い」「面白くない」の映画に作り上げてしまっている気がする。たしかにそういう戦争映画もいいけど、訴えてくるものはなく、描いているだけ。
『パールハーバー』の場合は論外。戦争うんぬん言う以前に『タイタニック』に『アルマゲドン』を移植して舞台を真珠湾で、時代を1941年にしただけ。ラブロマンスは適当の上に、尻軽女のイブリンに腹が立ち、そして唯一の見所の戦闘シーンですら、「戦争」の「戦闘」ではなく「アクション」の戦闘にしか見えない。結局観客はジマー様の音楽とブラッカイマーとマイケル・ベイが『アルマゲドン』で学んだテキストによって泣かされたと考えてよいだろう。
『エネミー・ライン』も娯楽としてみればよいのだが・・・・、何を訴えていたのだろうか?やはり戦争ではなく「アクション映画」にしか見えない。
しかしここ最近のこういう軽い戦争映画の中にひときわ光る『シン・レッド・ライン』重く、深く、激しく、寂しい。
だが、重かった戦争映画ってこれだけでは?『U−571』『プライベート・ライアン』『エネミー・ライン』『パールハ―バー』『スターリングラード』・・・。
そしてこの『ブラックホーク・ダウン』の公開。最近娯楽系の戦争映画が多いので、どんなもんだ?って期待が高まる。
史実に基づいて、この時兵士が体験したことを克明に描き出す
このために作られたこの映画。
確かに戦闘シーンが延々と続くこの映画にストーリーもなく、娯楽性も薄い。あるのは「真実」のみ。
だが本当に真実だったのか?兵士の死体をソマリアの兵士が町をひきずりまわすシーンは最初議論になると思われたが、製作サイドは全員撮らないつもりだったらしい。
そして結局『ブラックホーク・ダウン』は完成。アカデミー賞にもノミネートされ、全米でも大ヒット。しかし本当にそれでよかったのか?
本気でこの映画で観客に語りかけるつもりなら、大ヒットもアカデミー賞だったどうだっていいはずだ。確かに映画を作るには制作費がかかりそれは観客の足によって動員数という数字で、金が稼がれる。
だが、この映画では「真実を知って欲しい」と描いている。
この場所の、この刻の真実に「友情」があったのはおそらく本当だろう、だがなぜ真実を描かなかったのか?
『シン・レッド・ライン』では真実でないにせよ、きちんと小難しいことを延々と3時間(正確には2時間51分)描いている。たしかに観客はこの映画を見ててだれるかもしれないが、監督が描きたかったものをちゃんと描いている。
『ブラックホーク・ダウン』でリドリー・スコットは真実を描きたかった。ジェリー・ブラッカイマ―の場合はああいう人だから、まぁ仕方ないにせよ、利ドリー・スコットなら真実を描けるはずだ。
なのになぜアメリカの視点ばっかり?なぜあったことを克明に描かなかったんだ?
ここ最近メジャーで公開された軽い(といったら失礼かもしれないが、『シン・レッド・ライン』以外はどうしても、軽い戦争映画に見えて仕方ない)戦争映画ばかり見ていた自分だから、本気のリドリー・スコットとジェリー・ブラッカイマ―にこそ、真実を描いて欲しかった。
だから1点。戦闘シーンに臨場感があるとか、ハンス・ジマーの音楽がどうとか、銃器設定がきちんとされている、とか銃の音がリアルだとかそういうのは全然問題ではない、この映画に必要なのは
真実
なのだ。
たしかに戦争ってのは、恋愛映画にするにも、友情物語にするにも、極限状態の人間を描くにも、完璧な題材といって間違いない。
それを娯楽映画に、アクション映画に、恋愛映画にすることは別に文句はない。
だがこの映画のように本気で真実を問う映画で真実を描かない、アメリカの友情物語しか描かないってのはどうだろう?
思えばジェリー・ブラッカイマーはこの作品に「極限状態でも互いを思いあう友情を知って映画にしたくなった」とかみたいなこと言ってたみたいだけど、それってやっぱジェリーさん色の強い作品にしたかったんだなぁって思って仕方ないあ・・・。やっぱり彼の名前が製作の場所に入ってくるとこういうアメリカンな友情物語が続いて真実は薄れていくのか?
別にジェリー・ブラッカイマ―を批判するわけじゃないし、自分も戦場の友情とかはかっこよくて好きですが、この映画でも「友情」を描く必要もあるけど、もう一つの、真実はどこへいったの?起こった事を克明に描いて、そして兵士達の友情、そしてソマリア兵達の視点も描いて本当の「真実を描いた戦争映画」なのでは?
結局この映画では「友情」と「戦闘シーン(及び、戦闘の進み方)」「時間の経過」などをリアルに描いただけで、「あったこと(ひきずり回される兵士は絶対に映画に入れるべき!)」を描けてない地点で終わりである。
ってなんか上に書いたのと同じこと書いてるけど、下の感想では「最近の戦争映画は軽い!」って言いたいだけです。
―――
けどまぁ、アメリカなりの視点で、若い兵士の苦悩描けてたからいい作品なんだよなぁ・・・。
だけど向こうの国の視点が2箇所だけってのがどうも気になって仕方ないなぁ(^^;
戦争のやるせなさとかきちんと描けてるのに・・・。
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