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[コメント] 稲村ジェーン(1990/日)

敗因は、桑田佳祐があまりにシャイ過ぎたこと
ささやん

 エロい詩だってドンと来い!ギャグだってやっちゃうよ〜。(ステージ上では)ロックスターをカッチリ演じることだって出来まっせ〜。という桑田佳祐なのに、こうも煮え切らない“青春映画もどき”をこしらえてしまう。…そう、実はこのおじさん、かなりシャイなんだよなぁ。

 結局、肝心なものは何ひとつ具体的には見られない。最大の山場・稲村ジェーンも見られなかったし、サーフィンの醍醐味も、湘南の海に集まる酔狂な若者も、舞台になっている時代の空気も、トルコ(現ソープランド)での遣り取りも、主人公達の心の動きすら、この映画にはまったく写されていない。もちろん、すべてを見せ切っちゃうのは野暮なことかもしれないけど、ぜ〜んぜん見せてくれないってのも考え物だと思う。

 お尻がむず痒くなるような青春映画にも成り切れず、サーフィンをスポーツとして描く映画にも成れず、湘南観光案内映画にも成らず、SASのプロモ映画にも成り切れなくて、何だか観てるこっちがどうしたらイイのか途方に暮れてしまった。「コテコテの○○映画!みたいなのを作るのは、ちょっと気恥ずかしくってね」なんて桑田佳祐は思ってたのかもしれないけど、たぶん貴方のようなシャイな人に映画監督は不向きな仕事です。って言うか、映画の前では“素の桑田佳祐”になっちゃったのかもね。“ミュージシャン・桑田佳祐”のノリで作ってたら、もしかすると清水美砂の激しい濡れ場なんかもバンバン撮れちゃったのかもしれない。臆面も無くCGか何かで稲村ジェーンを再現出来たのかもしれない。やっぱ、水野晴郎ぐらい図々しくないと。

 「希望の轍」も「真夏の果実」も「ラブ・ポーションNo.9」もイイ曲なんだけど、所々グッと来るカットもあったんだけど、結局シャイな佳祐さんに「憧れの映画製作」という強敵はちょっと歯が立たなかったような。思い入れの強さは伝わって来たんだけどね。

(評価:★2)

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