どこに着眼したらいいのか、分からない。これは着眼点が多すぎる。 わたしは、どこに気づこうかと迷ったけれども、 栗田くん（田辺誠一）、朝子（片岡礼子）、直也（高橋和也）の三人が、 まだ見ぬ子供を楽しみにしている姿、だけで救われた。

朝子は、自分が幸せになるために子供が欲しいわけだから、 子供は幸せを約束されていない。 思い通りの子供でなかったら、こんな筈ではなかったと投げ出すかもしれない。それとも、二人の友人（子供の父親）との付き合いの中で変わることが出来るか？それは、かなり難しいと思う。

子供はこうやって負のスパイラルに巻き込まれていくのだろうと思っても、楽しみな心はその時、確かに存在しているのだから、なんにせよ温かい気持ちになる。

ゲイのカップルが同じ女性に子供を産んでもらう。生まれた子供たちは、母親を介して血の繋がった兄弟なのだから、それぞれの父親も血縁のようなもの、になる。切っても切れない縁が発生するというか。そして、孤独ではなくなる。

子は かすがい というが、本来、これは家族という枠組みに、後から付いてくる副産物である。かすがい となるものを得ることが先行して、その目的のために子供を望むことは、道徳的に間違いである。そこまでしなければ、上手いこといかない関係は、同性愛、異性愛、問わず、やめたほうがよいと感じてしまう。しかし、ゲイのカップルの孤独感は、私はよく分からないから、そこまでせずに居れない、大変な苦しさがあるのかもしれないな、と思った。なので、その辺も観たかったな。