[コメント] 突入せよ! 「あさま山荘」事件(2002/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
原田眞人監督の名を初めて知ったのは「金融腐蝕列島 呪縛」だった。 これが面白かった。「銀行の内幕」という馴染みのない題材にも関わらず、 最後まで釘づけにさせてくれたのは、ベストセラー小説の映画化という理由だけではなく 銀行マンという一般の人間、働く1人の同じ男が「熱く闘っていた」からだ。 その銀行マンを演じた役所幸司と原田眞人監督が再びタッグを組んだ。
「あさま山荘事件」 冬の軽井沢で、防寒着の警察官がカップヌードルを食べる場面が全国中継され、 以後爆発的に売れたという有名な話がある。 そっちはよく知っていたけれど、事件そのものの詳細はなにも知らなかった。 1972年「我々が銃で革命を起こす」と人質を捕り、山荘に立てこもる連合赤軍メンバー。 「革命などではない。彼らこそが国民の敵なのだ」と組織の殲滅と 人質の開放に全力を挙げる指揮官、佐々淳行。(役所幸司) ことの始まりから終わりまで、警察側の視線で克明に映像化されている。 佐々淳行氏の原作に沿ったストーリーだからだと思うが、あくまで警察側からだけ見た物語で 犯人像(至る経緯なども)がまったく見えてこない。 事件そのものを知りたいと思ったならば、別の書物やネットなどの方がいいかもしれない。 この事件は、もしかしたら犯人側から見た別の物語があるような気がする。
「ヒート」「インサイダー」「アリ」等の、マイケル・マンという好きな監督がいる。 原田監督は、この監督と合い通ずる部分がある。 「酸いも甘いも味わい尽くした人生半ば過ぎの男」と書けば長すぎるか、 一言でいうなら「闘う男」を描くのが上手い。 銃を乱射したり、犯人を追う刑事だけが闘う男ではない。 社会に、会社に、組織に翻弄されつつも主張を貫く主人公の姿勢に 誰もが闘いながら生きているんだと、両監督から教えられる。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。