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[コメント] 私は貝になりたい(1959/日)

庶民の鑑は血塗られ輝き失せ、教科書のページには戦勝国の論理と変節した国の煌々と輝く凡庸さだけが逆説的に記録されていく。むなしさだけが心に残る。読みたいことがそこにある。泣きたいこともそこにある。
ジャイアント白田

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







圧倒的に悪であるはずの国が人を裁く権利があるのかとか、都合のいいときに個を持ち出して国としての体面保持をしてしまう国のだめっぷりに終始怒髪。

その場にいれば、何故俺が?を言うだろう。自分がその立場だったらと思うと、怖い。この悲劇は勝ってればなかった、起きなかったという問題ではない。問題なのは戦争から派生した憎しみと歪みが絶対に心に残ることを未だ理解しようとしないこと。

どんな大義名分と付けようと、民衆を欺いた情報をメディアに載せて罪悪感を麻痺させようと、どんな戦争でも本質は悪だというのを後生に伝承する義務が芽生える映画ではないだろうか。他人事で済まされないことが日常の生活感を背景に描かれているのだから避けられまい。

自分の子供が安易に極刑極刑と叫びたがる人間にならないためにも糧とする。それが平和な世界に繋がるから。

2003/10/17

(評価:★4)

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