[コメント] マジェスティック(2001/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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映画的には、主人公がジム・キャリーである必要がない凡作。だって、 ジム・キャリーはあの全編特殊メイクで臨んだ『グリンチ』でも、ジム・キャリーでなくてはできない演技と自己主張を発揮していた役者だぜ!! これはないよ。もちろん、演技力はバツグンだけどさ。
で、フランク・ダラボン監督も、そのうちヤン・デ・ボン監督と同様に、一作ずつ評価を落としていくのだろうか……。「ボン」つながりなだけに不安だ。 この作品に関しては、監督としての力量というより、脚本がマズいんですけども。
観客が普通に観ていて純粋に疑問を持つところを、ちゃんと描いていないんですよ。一番大きいのが、主人公ピーターの影の生活がまったくわからないこと。あいつの家は? 家族は? 彼女は? 行方不明になっておいて、彼を捜しているのが赤狩りの連中だけというのは変でしょう。 次に大きいのが、ピーターとルークがうり二つであるという理由がない、というところ。ただの偶然で片付けてしまうのは観客をナメた態度だと思う。普通、途中まで観ている観客は「この2人、実は双子なんじゃないかしら」とか「実はあの事故でタイムスリップして、実の息子と間違われているというSFなんじゃないか」とか「パラレルワールドにピーターは紛れ込んだんじゃないか?」とか想像するでしょう。それが、ただの偶然っていうのはちょっと……。安易な偶然の一致はまだある。ピーターとルークが、同じ「映画業界に関わっている」ということと、「ピアノが弾ける」というところ。ここまで2人の共通点があるんだったら、ある意味「同一人物」的なオチでないほうが不自然だよ〜。
みんな、疑問に思わなかったかな?
……ちなみにこの作品の本来のテーマであるところの「赤狩りをする政府への疑問」とか「自由を謳い上げる」部分は、あまりに取って付けた感があって、まるでピンとこず。
「映画」そのものへの愛を入れ込んでいる部分は、まあ、いいんですけども、主張したい要素がストーリーと噛みあっていないんですよ。結局、観客になにを見せたいのかよくわからない、どっちつかずな、方向性が定まっていないギクシャクした作品になってるんですよねえ。
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