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[コメント] スチュアート・リトル2(2002/米)

あり得ないもののために家族が一致団結する映画。
chokobo

アニメの世界でも言われることだが、絶対にあり得ないこと、例えばルパン三世がクラリスを救うためにとてつもない高い城の屋根から駆け下りてジャンプするような、そういう姿というのは非現実的でありながら何故か心を揺さぶられるものである。

この手法を数々の特撮やら今ならSFXなどで克服してきたのが映画であり、その大きな一翼を担っているのがアニメ映画、ということになるだろう。しかしこれはアニメ映画ではない。

思い起こせば『恐竜100万年』や『シンドバッド』シリーズで得体の知れない敵と人間が格闘する映画にはいずれも驚かされたものである。『キング・コング』にしても『ゴジラ』にしてもである。今や『ハリー・ポッター』や『ロード・オブ・ザ・リング』、勿論『スター・ウォーズ』などで当たり前のように使われるこの手法は、これから更なる進化を遂げることだろう。

本作は前作に続いて小さな小さな兄弟、しかし明らかに家族の一員であるスチュアートの日常冒険活劇とでも言えばよろしいか、不思議な不思議な設定をものの見事に貫いて面白く見せている。

後半、敵と戦い彼女を守る、というシチュエーションはこれまで沢山の映画で使われたネタであるが、それがこの小さな小さなネズミが主人公であり、それがその小さな世界ではなく、人間社会と相まみえる姿に不思議な感動を覚える。

象に立ち向かう蟻のごとく、自分の背丈が小さいことなどおかまいなしに冒険し突進する姿は、ナレーションを担当するマイケル・J・フォックスそのものでもあろう。

パーキンソン病を煩いながらも戦う彼のことは、すでに自伝書でも紹介済みだが、言うまでもなくかつて『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『摩天楼は薔薇色に』などで、小さいながらもビッグになろうとする彼のスクリーンの上における姿と大きく重なりシンクロしている。

あり得ないネズミの姿を家族が見守り、家族以上の愛で応援する姿に、自らの子供を傷つけたり殺めたりする親へのアンチテーゼとしても見ることができよう。しかもここではネズミである。ネズミを家族以上に愛することができるのか?せめて自分の家族くらいは…と思わざるを得ない。

(評価:★3)

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