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[コメント] トータル・フィアーズ(2002/米)

トム・クランシーの内面に潜む”ナチズムの亡霊”(=民族差別主義と軍事的冒険主義へのシンパシー)を自戒とともに告白された印象。
G31

この魅力的なストーリーは、被差別民族や反戦平和主義者に対しても、訴えるものがあるのではないか。すなわち、人類は、善なる部分だけでなく、悪なる部分においても連帯している。相手に舐められまいとして見せる強硬姿勢を、真の勇気としてではなく、蛮勇、すなわち恐怖の裏返しとして描くスタンスは、どうにもしようがない人間の性(さが)といえる深度にまで到達したと感じた。選曲のセンスや音響の処理、映像の説得力などはハリウッドの真骨頂を遺憾なく発揮しており、感情に直接訴える娯楽の傑作である。ホットラインの仕組み等、設定の細部をもう少し詳しく教えてほしいという感情が残り、原作をぜひ読みたいと思わせる作品となっている。

80/100(04/03/14記)

(評価:★4)

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