[コメント] アイス・エイジ(2002/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
シドを殴って、子供とケタケタ笑うシーン。このシーンがどうしてもひっかかる。下手な暴力シーンよりも、よっぽど恐ろしい。
この映画では、視聴制限等が起きないよう、配慮がなされている。トラが死ぬシーンでも、つららが落ちるところまでは写しても、刺さるところは写していない。また、怪我を負った時でも、日本のアニメであれば、雪の上に血痕でも描きそうなものだが、そういったこともしていない。これは、暴力描写を抑えるという目的でなされているのだと思われる。
しかし、それ以上に恐ろしい暴力シーンが、シドを殴っては子供と笑うシーンだ。こんなに恐ろしいシーンはない。
シドは仲間である。その仲間は「なまけもので、無能」であるために、殴られ、そして笑われる。「本人も笑っているし、嫌ではないんだ」という、殴る側のあまりにも勝手な解釈によって、殴られる。
そして、これを見た子供は、思いはしないか。
「本人に殴られるだけの理由があれば、遊び半分で殴ることは悪いことじゃない。ほら、殴っても本人は笑っているし、あいつのろまだし、あいつを殴ってると周りが和むんだよね。」
そして、今日もどこかで、遊びだし、本人も嫌がっていないという理由の下に、友人(だと勘違いしている悪魔)による継続的な暴力に心を痛めている子供がいる。
血を見せたり、暴力によって人が傷つく様を見せる方が、よっぽど教育上良いのではないかと私は思う。傷ついた者や、殴られた者の痛みを、共感して、してはいけないことなんだと、そう思って欲しい。
明るく、軽く、肯定的に暴力を流してしまうのは、私には我慢ならない。
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