扱われているテーマに対して、ここでの人の描き方があまりに記号的だ。ゴラムの葛藤を安易に言葉にしてしまうのには開いた口がふさがらない。フロドの危機感もまったくもって、親身に感じられない。スケール溢れるファンタジー世界をただ鑑賞するんじゃなくて、その世界で生きる人間に自分を託したいのよ。そういう意味じゃ、ラストのサムとフロドのやり取りはハイ・ファンタジーの放棄としか思えない。

それと、相変わらずダイジェストっぽい印象は最後まで収まらず、いっそのことテロップとナレーションでも使用しなさい。そっちのほうがここでのシーンの飛躍が観客に納得してもらますぜ。

合戦シーンには圧倒されたさ。 ただ、俺の指輪を廻る旅はここまでのようだ。原作ファンの方々後はよろしく。前回のボロミアと一緒に俺も昇天しておくべきだった。