[コメント] サイン(2002/米)
物語が進むごとに“くだらなさ”に拍車がかかっていく。久しぶりに、何度、途中で席を立とうか迷った映画だった。
その語り口は、ひとつひとつのエピソードを大きなひとつの物語として統括し捉えることができない幼児のように、思い出した順に唐突に話題が飛んでいく。だから、伝えたいこと、伝えたいことばは、あからさまで単純なのにもかかわらず、奇妙な“じれったさ”と、耳に“居心地の悪さ”が残る。
絵やセリフも極めて説明的なのに、その説明がモタモタしていて、とってつけたようなものだから、「言いたいことはわかるが、わかりたくもない」感が残る。『シックス・センス』や『アンブレイカブル』では辛うじて成功していた、絵とセリフの微妙な“間”の演出も、今回は『ID4』と同質の意識が侵食しているせいか、単なる「違和感」としてしか捉えることができなかった。
ってかさ、上映後に映画館ロビーで配られる「この映画の謎解きは…」ってパンフをいちいち配らねばならない映画の存在ってどーよ。それって、ことばで伝えきれないものを、“映画”だからこそ伝えられる、その可能性を否定してるってことでしょ。映画としての可能性と、観客の可能性を否定してるんでしょ。なんと言語依存的な。
「とどのつまり『信じる者は救われる』」なんて言っておきながら、映画も観客も信頼していない。なんて皮肉!
[with sensei/梅田ブルク7/9.22.02]■[review:9.24.02up]
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