公開前、「主演：ジェット・リー、ドニー・イェン　武術指導：チン・シウトン」というクレジットを見てどれだけ心躍ったことか。そして「監督：チャン・イーモウ」の名を見てどれほどハラハラしたことか。

でハラハラ的中。

まずドニーとリーにあやまれ。 この２人の対決を単なるツカミとして持ってきた時点でイーモウ様が武侠篇に対して興味ノーウェイなの確定。 しかも。しかもこの２人の対決をあんな細切れスローモーで見せつけるなんてミニチュアの爆破を倍速で再生させるくらいの冒涜的行為ですよ。クリープ八割のコーヒーですよ。『ヒート』のデニーロとパチーノじゃねえんですよ。

そしてなによりもシウトンにあやまれ。 スローモーション使ったタイマンダンス撮るんならユエン・ウーピンに頼めよと言いたい。 シウトン演出が冴えるのはあくまでスピーディーでトリッキーでケレンミ溢れる群像演舞なんだよと教えてあげたい。 というかウーピンは売れっ子だから仕方なくシウトンに頼みましたー感が滲み出ていて涙が出てくるよ。 イーモウはきっと武侠篇が嫌いなんだきっとそうなんだ。というより観たことがないのだろう。 きっとイーモウの作りたかったものは人が空中をくるくる躍る音の無い絢爛ミュージカルだったんだろう。 そうか、リーやドニーやシウトンこそがミスキャストだったのだな。倉田保昭が宝塚に出ちゃったようなものだったのだな。 そう思えばどう考えてもション・シンシン（くまきん）とブリジット・リンにやらせるべきはずの最強夫婦がトニー・レオンとマギー・チャンであるのも納得できました。納得と共に怒りが興味なしへとスムースに移行しました。

まあともかく３人にはあやまっといてくださいイーモウ様。かしこ。