[コメント] 木曜組曲(2002/日)
絶妙のキャスティング。浅岡ルリ子様は言うまでもないのだが、アホ顔の西田尚美が純文でダサい眉毛の富田が大衆小説という割り当ても楽しいと思う。けどやっぱり、篠原演出と「緊迫感」は相性が悪いなぁ……。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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これ見よがしの顔面アップ連発は「緊迫」を強制されているようで、どうにも居心地悪し。これだけの役者を揃えたら気合が入るのも解るけど、ちょっとやりすぎと思う。少々しんどい。
それと、ミステリ作品としては「謎」と「結論」の関係性が希薄というか、謎が単体で現れて単体で解決されていく展開であまり牽引力を感じなかった。近年の作品で言えば『キサラギ』(設定似てるね)なんかだと、「終わってみればすべての謎が結論に向かって倒れこんでいた」というグルーブ感があってすごく好きだったのだけれど、この作品の場合ミートソースや「遺書」というガジェットが物語を転がした段階で役割を終えてしまっていて、本質的なテーマである「老いた天才作家の情念」に直結しきれていないし、鈴木京香説も偶然の積み重ねなのでカタルシスを得るまでには至らない。至らないものを最後に持ってこられて「書き直し!」なんて処理されてもなぁ……ここはやっぱし完璧な推理を披露した上で、その完璧なやつを根底からドカンとひっくり返してほしいよぅ……と思うのだ。
そんなこんなで、ラストはすごくいい雰囲気なのだけれど、ちょっとここだけ浮いてしまっている気がする。大筋を思い返せば最後には「うわあ……っ!」つって鳥肌が立つような物語になったかもしれないという印象を残しただけに、本作品には大いに不満が残ったです。
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