[コメント] パンチドランク・ラブ(2002/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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不可解な愛。軽蔑される愛。そんな愛の当事者はとにかく滑稽で、不器用で、根拠は馬鹿馬鹿しくて下世話で、しかし必死で、ある意味超人的である。こういうつながり方をした二人って、見ていてまぶしい。
唐突に挿入される超人アクションは、全てこれ比喩。奇想天外なアクションを感情発露の比喩に据えるのは、私は引き出しが少なくてアレなのだが、他には北野武の『座頭市』しか知らない。飛び込み前転で度肝を抜かれた人は多いと思う。このハッタリ感がまぶしいのだ。必死、っていう本質は変わらないわけだから。スクリーン上で見えている事象以上の事象が起きてる、っていう文系映画は結構好き。
「リアルなファンタジー」と「ファンタジックなリアル」の絶妙な配合で完成するシュールでハッピーな愛の寓話。こういうつながり方をした二人って、見ていてまぶしい。よくよく考えれば、愛ってそういうものだと思うし、ドラマとしてもこちらの方が面白いことがある。なぜなら全てが予想外だからだ。身につまされる人は結構多いのではなかろうか。というか居て欲しいよ。
まあ、アダム・サンドラー / エミリー・ワトソン / フィリップ・シーモア・ホフマンのビジュアルとポール・トーマス・アンダーソンのハッタリとガチのギリギリなバランス感覚があってこそ達成される感興ではあるとは思うのだが。たとえば『電車男』で同じことが起こっているかと考えると、やはり違う。少なくともこれはギリギリファンタジーであっても偽善はなく、きれい事もほとんどない故、『電車男』や数多の「ラブコメ」が結局拡散してしまうような絶望感はここには皆無である。媚びもゼロだし。その辺が好感度大。
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