[コメント] 夜を賭けて(2002/日=韓国)
突然船に乗って現れた山本太郎。薄汚れた風体の彼に掴まれた子どもは思わず叫ぶ、「臭い」。しかし、言うほど彼は臭くないし、見かけほど彼らは汚れていない。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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公式ホームページを参照したが、監督金守珍は小手先だけで演じるのではなく、全身全霊を傾けて演じる役者を求めて、相当に広い層からオーディションをおこなった。確かに役者たちがぶつかる様には相当の迫力があり、ぎらぎらしていた。窪塚洋介の「ダセェー」よりも山本太郎の「ウォー」のほうがふつふつと沸きあがるマグマのようなパワーを感じさせることは確かである。
しかし、肝心の演出は、画作りはどうであっただろうか。何人かが上から覗き込むところを真下から撮るカットが多用されていたが、これは監督が嫌がっていたはずの小手先だけの媚びたカットであり、しかも古くさいというイメージが拭えなかった。演出にしろ、ひょっとすると原作に忠実に描いたのかもしれないが、真昼間に堂堂と彼らが盗みに入った動機がわからない。無謀さを描いたような演出をしているわけでもないし、どうしてもその後の集落の崩壊に強引に引っ張るための便宜策としか感じられなかった。「無謀だ」というセリフをわざわざ言わせるところなんて最悪。背景そのものが骨太なだけに見過ごしがちだが、他にも結構テキトーな作りを思わせるところが散見された。
役者の演技にだけではなく、監督自身も小手先だけでない、映画初演出だからこそできる、直球勝負の演出やカット割りを期待したかった。いまいちだった。(★2.5)
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