[コメント] ジャスティス(2002/米)
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『真実の行方』や『オーロラの彼方に』において多くの映画ファンを唸らせてきたと思われるグレゴリー・ホブリット監督。今回は未知なる領域?なんと第二次大戦が舞台だった。捕虜収容所の収容兵にスポットを当て、中でも監督が目をギラつかせながら手玉に取っみせたのは今や人気俳優のコリン・ファレル。
戦場の後方で軍務に服していたハート中尉は、ある日突然、地獄で生活することになる。捕虜になるまでの経緯と同時に中尉の人物造形をこなしていく前半は、とても見応えがある。落ち着いた雰囲気の中で描かれる戦争の裏側という意味でも「やるじゃん監督!」と思ったもんだ。しかし舞台をメインとなる収容所に移してからは監督の独壇場になってしまう。別にこれは悪い意味ではなく、逆を言えば監督が暴走し始めてくれたおかげでようやくこの作品の幕が開かれたとも言えるのだ。事実、2時間の長期戦ではあるが飽きることは無かった(のに…
ハート中尉を中心に、マクナマラ大佐や敵であるビッサー大佐との駆け引きが展開されていく。邦題にある「ジャスティス=正義」のような、いかにもそれを意識したかのような展開。またブルース・ウィルスの「嘘臭くてなんぼ…」としか思えない演技も鼻に付くようになる(これを補うのは軍人としての筋を通し抜くマーセル・ユーレスの演技)。
軍法会議と脱走の行方がラスト10分で押し込められているが、このシーンこそ最悪の場面だ。勿論、マクナマラ大佐に興醒め。この人(アメリカ)の責任感なんてこの程度のものなのか?!と。そもそも大佐の掘り下げが全くなされていない為に、脱走行為そのものにだって疑問を感じてしまうのに。しかも、元々戦争映画にしては中身の薄っぺらいプロットなのだから、ラストにどれだけ熱いメッセージが込められているのかと思いきや、この結末なのだ。スコット少尉が残した言葉に全てを託している姿勢も面白くない。これまでのTVドラマみたいな2時間はなんだったんだ?とね。
「当時は例え捕虜でも米軍としての組織は機能していたんだな…」という感想もあるから、無知な自分にはいろいろと勉強になる部分もあったのだが、如何せん何も残らない作品というのは痛い。痛すぎる。
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