コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] キル・ビル(2003/米=日)

タランティーノの希代のアマルガム作家としての一面が全開。面白ければ何でもええんや!とでも言いたげな姿勢は深作より香港の連中に近いのだが、彼が脳内で作り上げた「ニッポン」をきちんと映像に具現化できてるのだから、これはこれでよい。
赤い戦車

元ネタがあったにせよ、青葉屋のように優れて映画的な構造を持ったセットを作れるのだからタランティーノはやはり凄い。青葉屋の場面はどのカット、どのショットも見事に撮影されている。場面冒頭にあるクレーンの長回しなんて、単に映画好きなだけでは絶対に撮れない代物だろう。

アクションもセットや小道具を決して無駄にしない香港流だが、ちゃんと展開が考えられており、同じく長時間・大人数が入り乱れる三池の『十三人の刺客』よりメリハリがある。殺陣のキレはさすがに外人ということもあって鈍いところもあるが、演出はそれを補えていると思う。

また、スタッフも役者も心底楽しそうなのが伝わってくる。本作にはそういった作品にしか発しえない幸福感がそこかしこに漂っていて、何よりも私の胸を打つ。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。