[コメント] 名もなきアフリカの地で(2001/独)
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ナチスのユダヤ人迫害から逃れ、アフリカに移住した家族の姿を描いた映画。
ナチスによるユダヤ人迫害を扱った映画は多々あるが、アフリカへ亡命するという話はなかなか珍しい。ただ、従来のナチスを扱った映画のような重々しい緊迫感はなく、どちらかというと広大な砂漠で生活することになった一家の大河ドラマのような感じで、展開的にも結構ほのぼのとしている。
ストーリー的には、助かるためとはいえ、祖国を捨て他の国へ亡命することはかなり大変だなと感じる。特に上流階級育ちな上に世界観が全く異なるアフリカでドイツに残された妹や母心配しながらの生活となればイエッテルが段々苛立ち始めるのも分る気がする。その辺はイエッテル役のユリアーネ・ケラーが上手く表現していた。
エピソード的にはなかなかいい話だが軸となる登場人物がバラバラで今一つ登場キャラに感情移入できず、話自体の印象も少々弱い。
前半のエピソードを見る限りではレギーナを中心に話が展開するし、ナレーションも含めると、この映画の主人公は明らかにレギーナだと思うのだが、なぜか、中盤からはイエッテルが話の中心人物になり、レギーナは蚊帳の外に置かれているのはそれまでの話の展開からしたらちょっと納得がいかない。レギーナが母親が父親以外の男とキスしているところを見て、それ以来ケンカする親に悩みを抱いたり、親友関係にあるレドリッヒ家の料理人のオウアとのエピソードなど、どうみてもこの映画でのレギーナが占めるキャラの重要性は高いと思うのだが・・・。
ラストで家族がドイツに戻る決心をしたところにしても、イエッテルはそれまで頑なにドイツに戻る事を拒否しつづけたのだからもう少し心の葛藤みたいなものを描いてもいいと思う。
ほのぼのとした空気のせいかあまり感動的な場面はないが内容自体はそれほど悪くなく、時間的にも2時間30分という上映時間の割には長さも感じなかったので、あまり感動作として見ずに、ホームドラマとして見れば面白いかもしれない。
役者としては幼い頃のレギーナを演じたレア・クルカのどんな逆境にもめげない明るく健気な演技が素晴らしかった。
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