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[コメント] 名もなきアフリカの地で(2001/独)

自然と人間、文化と民族が程よく混ざりあうアフリカの地(と、ドイツの人には見えるらしい)に自然を嫌い文化と民族を拒否された女(自覚症状がない)が降り立つ・・・。なんか80年代自然回帰推奨テレビドラマって感じで古臭い。ドイツでは今流行ってんの?
torinoshield

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







一見「北の国から」ドイツバージョンと見えなくもない。が、考えてみれば最初ヴァルターですらアフリカが好きで住んでいるわけではなかったんだよな。 夫婦二人ともドイツに帰りたいのはいっしょ。現実的な夫に対していつまでも裕福な生活が忘れられないで逆恨みする妻との喧嘩はいささか疲れる。

本来状況さえ掴めればここまで自分勝手な人っていないでしょう、戦時中だし。そして後半に行くにしたがってだんだんアフリカの地に魅力を感じてくる彼女。今度は「あくまでナチス追放の為がんばる夫」と軋轢を生む。ここもね、旦那の思想は一貫してるんです。彼の考え方は

「連絡がつかない両親(1%でも生きている事に賭けて)を助ける為にはナチスを倒すしかない」

「このまま一家をアフリカに埋もれさせるわけにはいかない」

アフリカの地に魅力を感じ始める妻とあくまでドイツにこだわる夫という構図は一見互角の主張(特に自然賛歌映画っぽいので妻有利?)に見えるが夫はドイツに残してきた親族やユダヤ人迫害をあくまでメインに、妻は自分がドイツの生活からアフリカの生活にシフトしたいだけ。

死の崖っぷちにいる仲間や親族を助けようとする(人間としては真っ当な)夫に一々異を唱える妻は違和感ありあり。自然回帰を謳うのは結構だがそういうのは「時代情勢による」でしょう。娘がアフリカの生活に馴染んでいくのは 自然な事だけど。

最後夫に従ったのは「今までの自分が間違っていた」と悟ったのか?どうもここら辺がはっきりしないんだよね。イナゴ追い払い作戦に協力した彼の行動基本「あくまで家族(ドイツの両親含む)の為」をようやく読み取った、って事なんだろうか?だとしたら気づくの遅すぎ、何年かかったんだ。

追記:同じユダヤ難民ものなら『戦場のピアニスト』がそっくり同時代のものなので時期を比べながら見るのも興味深い。(両作品年月が挿入されている)

(評価:★2)

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