[コメント] 罪と罰(1983/フィンランド)
ハードボイルド『罪と罰』。
「ハードボイルド」を「ある事柄を客観的な態度で、感情を排して描写すること」だとするならば、映画とは本来的にハードボイルドなメディアのはずである。そのほとんどが心理描写で成り立っていると云ってもよいドストエフスキーの原作小説とは対照的に、カウリスマキは客観的な「行動」のみを描いた。それゆえ長大な原作が九三分間の映画として上映されることは驚くに値しない。のちにカウリスマキが獲得することになる過剰なまでの簡潔さを思えば、むしろ冗長だと感じるほどだ。
カウリスマキが文学に傾倒していることはよく知られているが、文学よりも映画の原理に忠実なカウリスマキはやはり紛れもない映画作家である。
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