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[コメント] レッド・サイレン(2002/仏)

カテゴリーで語ってしまうとサスペンスアクションであり、取り立ててオリジナリティに富んでいる訳でもない。けれど自然光や、随所にフレンチらしいセンスが溢れ印象に残る。コマーシャル過ぎない少女もナチュラルで、バールの悲しみ漂う傭兵も良い。サポートのアルジェントのストレートな美貌も惹き寄せられる。
TOBBY

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







フレンチムービーなのに全編英語なのが謎ではあるが、真夜中に何となく見始めてラストまで惹き付けられる吸引力はある。

脚本も決して完璧ではなく,傭兵がウロチョロしてる偶然性とか、暗殺者をはべらせる少女アリス(ネグラオ)の母(バーバー)の正体の謎とか,突っ込みどころも多い。 けれど何もかもリアリティに描かれすぎても映画としての面白さに欠いてしまうし、ある種の非現実性が上手にブレンドされていた様にも思う。

12歳以下は観れない指定のある通り、これでもかと殺害のシーンは激しく描かれ,特にホテルでの銃撃戦と、終盤のアリスの父のアトリエでのバールと暗殺者の死闘など時間を割いても緊迫感をキープし見せきるのが凄い。

タイトルから「レッドソニア」とか「レッドスコルピオン」みたいなハリウッドB級アクション乗りかと勘違いしがちだが、夕日の中(赤)の海の精(セイレーン)という意味で,アリスの事を父が昔そう呼んだ為というロマンティックな意味だったりする。

ドアのガラス、夕日をボールに見立てたり、事件現場の部屋のノートの散らし方や火の粉などハリウッドだと疎かにしがちな、細部の描写にセンスが溢れ感心させられる。 母を演じたバーバーが、あまりに漫画的すぎるので、もう少しリアルで(ミランダ•リチャードソンあたりなら適役)、無口すぎるバールに、もう少し人間臭さが醸せたら、もっと作品が膨らんだ気がする。

美貌の女刑事アルジェントバールとは何も無く,ラストでアリスの初老の父と恋愛を予見させるあたりもフレンチのエスプリを感じた。

ちなみに漫画好きなら、まるで浦沢直樹の「パイナップルアーミー」を観ているような錯覚に陥るかも。

(評価:★4)

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