冒頭のメーサー攻撃は『サンダ対ガイラ』。メカゴジラが街を破壊するシーンは『メカゴジラの逆襲』。この辺のオマージュは見ていて面白かった。過去のゴジラ出演者が沢山出ているのにも笑えた。ラストに画面を横切るのは手塚監督だよね？？？

作品としては手塚昌明らしい娯楽性の高いゴジラ。こういうＳＦに影響されて育った自分としては、少年のころに見ていたらきっと楽しめただろうと思う。

「生きていて悪い生命なんてあるわけない」というわけで、結果的にゴジラも機龍も釈由美子も死ななかった結末（もちろんゴジラとメカゴジラに殺された人は暗黙の了解で沢山いるのだけど）。『メガギラス』のときは幼稚すぎると思ったが、今回は割りとまともな主題があって、ストーリーも破天荒になり過ぎずまとまっていた。

が、今自分が求めるものは少なくともこれではない。

人生で一番最初に見た映画は『ゴジラ』(１９５４)か『空の大怪獣ラドン』のどちらかだったと思う。飽きずに何度も見たものだ。その後、イイモンになってしまったゴジラや、ウルトラマンを見て育ったのだが、少なくとも最初のゴジラやラドンは自分にとって恐怖を感じる存在だった。今でもゴジラには恐怖の象徴であってほしい。

そんな意味で、今こういうゴジラを好きになる事はできない。

ただね、劇場で「昔はメカゴジラは宇宙人が操ってたんだよ！」とか、「オキシジェンデストロイヤーだ！」とか、『モスラ』の映像が挿入されて「これ見た！」とか、そんなこと言ってはしゃいでる子供達を見て、自分だって少年のころワクワクしながら同じ映画を見てきたんだ。もしＳＦゴジラが無かったらどんなつまんねぇ大人になってたかわからない。求めていたゴジラは去年見させてもらったし、しばらくはこんなでもいいかな。

と、

少しだけ子供のためのゴジラもいいかなって思ったのです。