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[コメント] 散弾銃の男(1961/日)

小さなアバンタイトル。山の中の鉄橋を材木を積んだ貨物列車が左から右へ進むロングショット。次に客車の中。左に田中明夫、その奥に芦川いづみ、右側の長椅子には、散弾銃を持った二谷英明が仰向けになって寝ている。
ゑぎ

 田中が酒を飲みながら芦川にからむと、二谷は寝たまゝで散弾銃を突きつける。芦川の表情の可憐なこと!この2カットの後、即タイトルイン。カッコいい!

 山道を一人行く二谷。木橋のような道が山へ通じる。佐野浅夫がトラックの運転席から、山へ入るなと声をかける。こゝの空間造型も面白い。細い山道で高橋明らに襲われるシーンでは、早速、繋ぎが変。高橋らが急に襲ってくる見せ方も繋がっていないが、二谷が、吊り橋から川へ落ちるショットの後、すぐにパンツ一丁で岩に寝ている、という時空を飛ばした演出。これは明らかに酔狂でやっているのだ。ところが、終盤で出て来る、トラックを運転していた佐野が、いきなり川岸の断崖の上を歩いている、というような繋ぎは、流石に荒っぽいとしか思えないもので、こういう部分は上手くいっていない。

 さて、二谷は恋人の仇を捜す男。荒くれ者ばかりの山奥の製材所にやって来る。こゝの社長が田中明夫。麓の村の世話役たちが雇った私設保安官がいて高原駿雄。その妹が芦川いづみだ。他の主要人物としては、社長の情婦で酒場のマダム−南田洋子、負傷した高原に代わって私設保安官の立場を二谷と争う流れ者で小高雄二が出て来る。と云っても、小高はすぐに社長の用心棒に鞍替えする。その他の製材所側の悪役としては、江幡高志郷えい治野呂圭介のトリオがいて、この3人がよく働いて、活劇を牽引する。特に本作の江幡の憎々しい顔作りは出色の出来じゃないか。

 特筆すべき演出、シーンの例としてあげたいのは、まず、佐野がやっている雑貨店を舞台にした世話役たちの会合シーンだ。店先でサロンパスを貼る二谷が出現し、さらに世話役たちを挟んだ店の裏口に小高が登場する。二谷と小高をシネスコ画面の中央奥に小さく映し、世話役たちを手前に配置して切り返すカット割りを反復する。これは面白い演出だ。あと、南田の酒場のモブシーン、どんちゃん騒ぎの場面。こゝに芦川が投入され、男たちに絡まれる俯瞰ショット。二谷が現れショットガンをぶっ放す。唄う二谷を見る芦川の潤んだ瞳。これはゴク普通に情感溢れる良いシーンだ。

 そして、終盤の海辺でのクライマックスについて。芦川の絶叫演技と、二谷へのズームイン/アウトをワンカットの中で行うカメラワークは、節操のないものだと感じたけれど、浜辺を歩く二谷と芦川をトラック横移動で捉えるロングショットはとてもいい。これは砂浜にレールを引いたのだろう。また、波打ち際の二谷に走って行って飛びつく芦川と抱きかかえる二谷という演出にも呆れたが、これはいかにも日活映画らしい明朗さだ。

#備忘でその他の配役などを記述します。

・村の世話役たち。村長は浜村純。他には久松洪介がいる。

・最終盤になって登場する謎の外国人(組織のボス)に嵯峨善兵

・製材所の荒くれ者の中には榎木兵衛がいる。

(評価:★3)

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