[コメント] WATARIDORI(2001/仏)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
俯瞰で見る動物を主人公としたドラマ(ドキュメンタリー)これが最初で(もしかしたら最期)あるかもしれない。数ある美しいシーンに自然淘汰という残酷なシーンもおりまぜながら、見る者を少しづつ現実に近づけて行くという手法もなかなかだ。傑作と言える。
この映画は大きく2つのカテゴリーといくつかのテーマに分かれている。何を言いたいかということはここで省くとするが、自然サイド=マクロと動物(鳥)サイド=ミクロから見た地球というのがテーマなのだと思う。かつて鳥の目線で現実の地球を写すことがあっただろうか。その意味でも画期的な映画だ。自然サイドから見る鳥の群の驚きと美しさ、そしてその中に写る大陸であり雲であり海である。この自然サイドからなる地球の大きさと変化を表現した。対して(この映画の最も驚くべきシーンの数々であるが)鳥サイドから鳥の視線で地球とその群、敵、仲間、そして最後に唯一人(子供)が現れ、我々をようやく現実に引き戻す。この2つのカテゴリーがキレイに折り重なっていて好感が持てる。
ドキュメンタリーはその撮影方法など苦労話に終始してしまうケースが多いが、ここではそのこともほとんど触れていない。セリフもほとんど解説するのみで、感情的な表現もない。ドキュメンタリーが映画館で表現できるものとしては『コヤニスカッティ』依頼の大物である。
鳥の数々の種類がそれぞれドラマを演じている。ペンギンの夫婦だったり、ペリカンの親子だったり、そして取り残される子供とそれに群がる別の動物。蟹の群のシーンは恐ろしかった。初めてみる蟹だった。
それにしてもアホウドリっていうのは、あんなにイジワルそうな目をしているのかね。初めて知りました。
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