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[コメント] 千年女優(2002/日)

自分自身に陶酔するのが「女優」なんだ。
アルシュ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







悲劇のヒロインとして60年間も陶酔している自分が好きな女優の物語。

相手が好きと言うより、恋する自分が好きってな主人公。

それについては老いた主人公の千代子も「顔も忘れてしまった」とか「もう、見付からなくてもいい」ってハッキリ宣言してます。

だからこそ、この映画では相手の男の顔はハッキリと描いていない。

そりゃあ、まぁそんな時期は自分もありましたなぁ。彼女欲しいとか、いつも恋していないと気が済まないとか・・・。だから彼女の気持ちは解る。そして自分自身に陶酔するのが、女優なんだから、ラストの台詞があれでも許せるかなって思う。

単純なストーリーを軸にして、それでいながら走馬燈のように時代から時代へ、現実と映画の中の虚構といった複雑な構成を示している。『蜘蛛巣城』『無法松の一生』『ゴジラ』等を引用しつつ、日本映画の黄金期へのオマージュを表出しながら、スタジオが取り壊されていくのを日本の古き良き映画の衰退を象徴として、そしてそれを憂う内容となっている。

但し、『パーフェクト・ブルー』同様に、なまじ江口寿史風な主人公が中途半端な萌えを感じさせる、あのキャラ・・・もうやめて頂きたい。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)水那岐[*]

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